【エグゼクティブリード】 面接を重ねるうちに、求める人物像は変わっていきます。ただ、その変化が人材紹介会社への依頼内容に反映されるまでには時間がかかります。要件が変わったことに気づき、言語化し、共有するという工程が挟まるからです。選考データが溜まることで、この変化が自動的に人材紹介会社へ伝わっていく。採用エージェントOSとして目指している状態を書きます。

こんにちは。bgrassでBizDevを担当しているまいかです。

今週は、人材紹介会社とのやり取りをテーマに書いております。 採用AIエージェントOSで、エージェントコミュニケーションを自動で回し、推薦の質を変えるでは、見送り理由が選考した人の感覚から起こされていること。選考結果を学び、次の母集団を変える。採用AIエージェントが回す採用PDCAでは、面接官の判断が人材紹介会社に届くまでに何度か書き換わっていくこと。人材紹介エージェントからの「推薦のズレ」を根絶する。採用AIエージェントOSが実現する、選考データで質の高い母集団形成では、選考のたびに更新されている採用基準が人事や面接官の頭の中に残ったままになっていること。

いずれも、すでにある情報がうまく外に出ていかないという話でした。 今回はその手前、そもそも要件そのものが選考の途中で変わっていくという話です。そして、選考データが溜まっていくことで、その変化が人材紹介会社にタイムラグなく伝わっていく仕組みについて書きます。

求める人物像は、面接を重ねるうちに変わっていく

最初に決めた採用要件のまま、一人目の採用が決まるまで走りきれることは、実務においてはほとんどありません。実際の候補者の方々と会い、選考を進めること自体が、要件を研ぎ澄まし、更新していく行為そのものだからです。 たとえば、選考が動き出すと以下のような変化が起こります。

  • 現場のリアルな要望の具体化:求人をオープンした後に改めて現場の面接官と話すと、「実はこのプロジェクトも任せたいから、この経験も持っていてほしい」と、事前のすり合わせでは出てこなかった要望が具体化する
  • 必須要件の引き算:何人かにお会いしていくなかで、「この経験は必須だと思っていたけれど、入社後にカバーできるから不要だな」と気づく
  • 輪郭の明確化:逆に「ここは絶対に外せない」というラインの解像度が上がっていく
  • 事業状況による役割の変化:事業やチームの状況が変わり、そのポジションに求める役割自体が動く
  • チームの充足によるシフト:1人目の採用が決まったことで、次に採用すべき2人目の要件が変わる

「最初はAという人物像で募集を始めたが、選考を進めるうちに本当に必要なのはBだと分かった」 これは要件定義が甘かったということではなく、採用の現場ではよく起きるリアルな姿です。

変わったことに気づくのが、意外と遅い

問題は、採用基準が変化したその瞬間に、人事や現場が「今、基準が変わったな」とリアルタイムに自覚できるわけではないことです。

選考基準のアップデートは、ある日突然変わるのではなく、目の前の候補者に対する一件一件の判断(「この人は通す」「この人はお見送り」)の中で、グラデーションのように少しずつ動いていきます。 そのため、「そういえば最近、これまでなら通していたはずの経歴の候補者を、別の理由で見送ることが増えているな」と、変化がいくつも積み重なって初めて自覚できるのです。 しかも、その変化に気づくきっかけは、数週間に一度の定例ミーティングや、たまたま現場と交わした雑談など、偶発的なものになりがちです。自覚するまでに、どうしても数週間単位のタイムラグが発生してしまいます。

気づいてから届くまでに、さらに工程が挟まる

さらに難しいのは、社内で「要件が変わった」と気づいた後、それが人材紹介会社に届くまでに、目に見えない工程が挟まることです。

  • 変化の内容を言語化する:「最近見送っている理由は何だろう」と振り返り、新しい要件を言葉にする
  • 更新方法を判断する:求人票そのものを直すべきか、人材紹介会社への申し送り文だけを更新すべきかを決める
  • 複数社へ個別に共有する:提携している複数の人材紹介会社へそれぞれ連絡する。先方の担当者が変わっていれば、背景から説明し直す必要もある
  • 推薦の質を確認する:共有後、実際に届く推薦の傾向が変わったかを確認する 一つひとつは細かな作業に見えますが、日々の候補者対応や日程調整がある中では、優先度としてどうしても後ろに回りがちです。「今週中には連絡を入れておこう」と思っていたものが、気づけば「来週にしよう」と先延ばしになっていきます。 その間も、人材紹介会社には古い求人票の要件に基づいた推薦活動を続けてもらうことになり、お互いに「ズレたお見送り」を繰り返す時間が生まれてしまいます。

採用AIエージェントOSが実務を回すと、要件の変化が検知できる

フェアパスでは、AIが実務を担うアシスタントとして組織に入り込みます。管理ツールやAPI連携と根本的に異なるのは、AI自身が手を動かしているという点です。 日程調整も候補者への連絡も、実際にAIが実行しています。だからこそ、面接の評価データ、見送り理由、人材紹介会社とのやり取り履歴が、誰かが後から入力するのではなく、実務を回した結果として一箇所に繋がった状態で溜まっていきます。 このデータがあることで、人事や現場が「そういえば最近」と思い出すより先に、AIが要件の変化をデータから検知します。

  • 新しい評価観点の発生:直近の見送り理由に、初期の求人票には記載されていなかった評価観点(「自走力」「特定のフェーズでの開発経験」など)が増えていることを検知
  • 合格者と求人要件の乖離:求人票に書いてある必須要件を満たしていないにもかかわらず、現場が合格を出している候補者の共通点を分析
  • 特定の理由による見送りの閾値超過:ある特定の理由による見送りが一定の件数を超えた段階で、要件のミスマッチとして知らせる 人が気づくのを待つのではなく、選考データが更新されるたびに、システムが自動で採用要件のシフトを捉えることができます。

目指しているのは、依頼内容まで自動で書き換わる状態

私たちがフェアパスで実現しようとしているのは、要件の変化を検知してレポートすることではありません。検知した変化を、そのまま人材紹介会社への依頼内容の更新まで一連のループとして同期させる仕組みです。 具体的には、以下のような流れを想定して開発・検証を進めています。

  1. AIが変化を検知:日々の面接評価や見送り理由の蓄積から、採用基準の変化を自動で捉える
  2. 変化の言語化:「実際に現場で通過しているのは、求人要件に加えて〇〇の経験を持つ人です」という変化の差分を、AIが具体的な言葉に起こす
  3. 更新案の自動作成:人材紹介会社向けの申し送り情報の書き換え案や、求人票の修正案をAIが裏で作成する
  4. 承認と送信:人事がその内容を確認・承認するだけで、提携している複数の人材紹介会社へ、最新の要件が自動で送信される これまで、人が自覚し、言語化し、連絡するという何段階もの工程を経ていたものが、一つに繋がります。人事が判断するのは、AIが作った差分と更新案に対する最後の確認と意思決定だけです。

求人の大幅なクローズや職種自体の変更といった影響の大きい意思決定には必ず人の承認を挟む一方、人材紹介会社への細かな要件フィードバックや補足情報の伝達といった定型的なものは、自動で実行する運用も可能です。 これによって、選考が進めば進むほど、人材紹介会社への依頼内容が自動的に実態へ近づいていくという循環が生まれます。

人が求人票をメンテナンスするのをやめ、実務を回した結果として、採用要件が更新され続けること。日々の実務も、人材紹介会社とのやり取りも、AIが裏で自律的に回し続ける。 そうして空いた時間で、人事は本来向き合うべき面接に集中する。それが、採用エージェントOSフェアパスが作っていきたい採用の姿です。

今週は人材紹介会社とのやり取りを取り上げてきましたが、AIが実務を回すことで変わるのは、この領域だけではありません。書類選考、日程調整、面接評価、母集団形成。採用オペレーション全体でどこまでをAIに任せられるのか、その全体像をホワイトペーパー『採用AI完全自動化入門ガイド』にまとめています。

▼採用AI完全自動化入門ガイド

執筆者|まいか bgrass株式会社|BizDev 採用AIエージェント「フェアパス」の導入現場で、採用オペレーションの設計・改善支援に従事。フリーランスとしても複数企業の採用支援・採用戦略立案を担当し、採用実務とAI活用の両面から現場に伴走している。