【エグゼクティブサマリ】 紹介会社への見送り理由は返しているのに、似た推薦が繰り返される。原因は理由を返していないことではなく、その中身が選考した人の感覚から起こされていることにあります。選考データが繋がっていれば、何を見て判断したのかが記録として残り、そのデータをもとに正確なフィードバックを返せるようになります。採用エージェントOSとして目指している採用組織についてと、フェアパスの解決方法について解説します。

こんにちは。bgrassでBizDevを担当しているまいかです。

エージェントから、求めていた要件とは少し違う推薦が届いたとき、なんとも言えないもどかしさを覚えたことはないでしょうか。

「必須スキルは求人票に書いてあるんだけどな……」 そう思いながら、管理画面を開いて見送りの連絡を返している。そんな経験は、多くの採用担当者にとって身に覚えのあるものだと思います。

なぜ、求人票を渡しているのに要件のズレた推薦が続いてしまうのか。そこには、従来の採用ツールや体制が抱える、構造的な問題があります。

見送り理由は返しているけれど、感覚値になっている

もちろん、人事は見送りの理由を何も返していないわけではありません。 エージェントに向けて、「スキル面でのマッチ度」「今回求めているご経験とは少し異なるため」といった形で、お見送り理由は毎回きちんと戻しているはずです。

ただ、その中身を紐解いてみると、選考した面接官の頭の中にある感覚から出てきたものであることが多いと思います。 書類や面接の様子を見て「うちの現場だと少し難しそうだな」と判断した結果に対して、後からその理由を言葉にして当てはめている、という構造です。

そのため、同じような経歴を持つ候補者であっても、選考を担当した人によって返す理由が変わります。書いた本人でも、1週間後に同じ書類を見て全く同じ理由を再現できるとは限りません。

細かく書こうとすると、書ききれない

この感覚を、エージェントに伝わるように細かく言葉にしようとすると、今度は情報の粒度が落ちていきます。

たとえば「マネジメント経験が想定と異なる」という理由を書くとします。しかし、面接官が判断した瞬間に実際に見ているのは、「マネジメントしていたチームの人数規模」なのか、「メンバーの育成経験」なのか、あるいは「複数の事業部をまたいだ経験」なのか。

判断したその瞬間には、面接官の頭の中に明確な輪郭が見えているはずです。しかし後から文章に起こそうとすると、輪郭がぼやけて、一般的な表現に収まっていきます。 輪郭のぼやけた理由を受け取っても、次にどの要件を変えて候補者を探せばいいのかは判断できません。渡している情報が足りていないので、似た候補者の推薦が続くのは当然のことだと思います。

「求人票を読んでください」では、変わらない

推薦がズレるたびに、つい「求人票を確認してください」と伝えたくなりますが、これで解決したことはほとんどないと思います。 なぜなら、求人票に書けるのはあくまで要件の最大公約数までだからです。

実際に現場の面接官が書類や面接のどこを見て判断しているかという、細かい評価のディテールまでは書ききれません。 そのため多くの企業では、求人票とは別に、エージェント向けの申し送り資料を用意しています。「この職種はこういう志向性の方に合う」「前職の規模感はこのあたりが望ましい」といった補足を、面談で共有したりドキュメントにまとめたりする。 ただ、この申し送りにも限界があります。書けるのは、その時点で言語化できていることだけだからです。

選考が始まってから見えてくること、たとえば「同じマネジメント経験でも、うちの場合は育成の実績のほうが効いている」といった発見は、実際に何人か見送ってみて初めて分かります。そして、その気づきが申し送り資料に反映されることは、あまり多くありません。更新するには、また言語化して、まとめて、共有する手間がかかるからです。

だとすれば、事前に渡す求人票や申し送り資料を厚くするよりも、選考の判断をデータとして溜めていき、そのデータをもとにフィードバックを返していくほうが、はるかに近道です。 ただ、その返す実態が感覚値のままだと、いくら返しても伝わりきりません。ここが、採用現場におけるコミュニケーションの構造的な問題です。

採用AIエージェントOSが実務を回すと、判断が記録として残る

私たちは、日程調整や候補者連絡といった実務の自律実行を進めています。この、採用プロセス全体を横断して実務を実行する基盤を、採用エージェントOS(Recruiting Agent OS)と呼んでいます。

AIエージェントが選考の実務オペレーションを裏側で回していると、書類の内容、面接官が入力した評価コメント、そして通過・見送りの判断データが、すべて同じ場所に繋がった状態で残ります。 つまり、お見送り連絡を作るその時点で、「この候補者のどこを見て、どういう理由で判断したのか」という一次データが、すでに手元にある状態です。 後から理由を思い出したり、面接官に確認したりして書く必要はありません。溜まっている記録から、そのまま正確に起こすだけでいい。

だからこそ、エージェントに返す理由が正確になります。選考の担当者が誰であっても、時間が経っても、判断の中身がぶれません。 選考のプロセスがデータとして残ると何が見えてくるかは、同じ「一次面接の日程調整」でも、候補者ごとに中身は違うで書いています。

目指しているのは、フィードバックが回り続ける状態

お見送りの一件一件の理由がデータとして正確に蓄積されていくと、一定数溜まった時に、採用全体の傾向が見えるようになります。

  • 直近10件のお見送りは、マネジメント経験の中でも、特にメンバー育成の実績が要件と合っていない
  • エージェントA社からの推薦は書類通過率は高いが、二次面接で見送りになる傾向がある これまで感覚的に「なんとなくこういう傾向がある気がするな」と捉えていたことが、裏付けのある形に変わります。

ここまで見えてくれば、エージェントへの働きかけそのものを、AI側から提案できるようになります。一件ごとの見送り理由を返すだけでなく、何件中何件がこの理由だったか、通過した人には何が共通していたかという傾向まで含めて返せる状態です。

そして、エージェントへのフィードバックが正確になれば、届く推薦の質が変わります。推薦が変われば、また新しい選考データが溜まって学習が進む。

現場の選考判断が正確に記録され、それがそのまま次の推薦の質に返っていく。私たちがフェアパスを通じて今作ろうとしているのは、この状態です。 エージェントとのやり取りも、日々の実務も、AIが回し続ける。そうして空いた時間で、人事の仕事を面接と意思決定だけにしていきませんか。

▼ 採用エージェントOSがどこまで実務を担うのか、解決策と導入パターンを確認する

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執筆者|まいか bgrass株式会社|BizDev 採用AIエージェント「フェアパス」の導入現場で、採用オペレーションの設計・改善支援に従事。フリーランスとしても複数企業の採用支援・採用戦略立案を担当し、採用実務とAI活用の両面から現場に伴走している。