こんにちは、bgrassで代表をしているだむはです。
「ATSも導入したし、生成AIも試した。それなのに現場が一向に楽にならない」 最近の商談で、そんなリアルな悩みをよく伺います。
なんとかこの現状を打破しようと、「今のATSを使った運用のまま、AIを組み込んで効率化できないか」と模索されている企業は非常に多いです。 だからこそ、商談の中話題に上がるのが、フェアパスが「既存のATSと何が違うのか」という比較です。
結論から言うと、ATSとフェアパスは担っている役割が異なります。 ATSは候補者の情報を蓄積・管理する基盤(System of Record)です。対してフェアパスは、そのデータをもとに日程調整や連絡などの実務を自律的に進める「実行レイヤー」です(System of Action)。
これからの時代に必要なのは、新しいツールを足すことでも、ATSを乗り換えることでもありません。採用の「コスト構造と役割分担」そのものを、AIによる実行を前提として再設計することです。
今回は、「記録」と「実行」という2つのレイヤーから、AIネイティブな採用組織への移行について解説します。
AI ATSとは?従来のATSとの違い
そもそも、採用システムには大きく分けて2つのレイヤーが存在します。
1つ目は記録(Systems of Record)候補者の個人情報や選考ステータスを蓄積・管理する基盤であり、現在多くの企業が使っているATSがこれにあたります。
2つ目は実行(System of Action)記録されたデータを見て次に何をすべきかを判断し、ステータスの更新や日程調整、メール送信などの実務を動かすレイヤーです。
これまでの採用活動は、ATSが「記録」を担い、社内の採用担当者やRPOが「実行」を担うという構造で成り立っていました。

なぜ従来のATSだけでは採用業務を効率化できないのか
では、人が実行を担う現場の実態はどうなっているでしょうか。
具体的には、候補者への連絡やメール対応、面接官との日程調整、面接後の評価の回収、ATSのステータス更新といった業務です。これらは一つひとつは単純な作業に見えます。しかし現実には、採用担当者の多くの時間がこの手作業のオペレーションに費やされています。
応募数が増えれば増えるほど、この手作業の時間は比例して増大し、結果として現場だけではさばききれずにRPOへ外注することになります。 ただしRPOに委託したとしても、「人がシステムを操作して実行している」という労働集約の構造自体は変わっていません。
ここでの論点は、RPOに課題があるということではありません。 むしろ逆で、採用のプロであるRPOの方々に、人間の機微が入りにくい手作業を担っていただくのは、その専門性を活かしきれていないということです。
AI ATSを導入しても、既存のATSはそのまま使える
人が手作業でシステムを操作し続ける状態から抜け出すためには、実行レイヤーだけをAIに入れ替える必要があります。
ここで重要なのは、既存のATSを無理に手放す必要はないということです。 ATSはデータを蓄積する正本(System of Record)として、そのまま残していただいて問題ありません。
システムの移行コストはゼロのまま、実行レイヤーだけをAIに置き換えることができます。人間がATSの管理画面を操作するのではなく、チャットで指示を出し、AIが実行し、人間が承認して採用が前に進む。ATSでのステータス変更までをAIが実行します。

AI ATSで採用オペレーションはどう変わるのか
チャットで「この候補者、通過で」と指示するだけで、裏側でAIエージェントが面接官のカレンダーを確認し、日程調整のURLを発行し、メールの下書きを作成し、ステータスを自動更新します。
これにより、採用のコストとキャパシティは大きく変わります。例えば、ATS未導入で2名体制で運用していた導入企業様の事例です。
- 導入前のコスト:2名体制の運用人件費 月額約70万円
- 未来のコスト(To-Be):AIトークン費 月額約17万円

AI ATSで採用工数を1/4に。導入企業で起きた変化でなく、4倍のオペレーションが処理可能に
ここで注目していただきたいのは、コストが月額53万円下がったこと以上に、同じ体制のまま4倍のオペレーションが処理可能になったという事実です。
実務をAIエージェントが自律実行することで、同社のオペレーションにかかる工数は実際に1/4に激減しました。1タスクにかかっていた工数が1/4になるということによって、今の4倍の応募が来ても回し切れる体制に導入とともに変化することができました。
AI ATS導入で変わる、人・RPO・AIの役割分担
AIを入れるだけでは組織は変わりません。 重要なのは、それぞれの得意領域に合わせて役割を再配置することです。
- ATS:記録とデータの蓄積を担う
- AIエージェント:日程調整や連絡、ステータス更新などの「実行」を担う
- RPO:オペレーションから離れ、戦略設計や母集団形成などの専門的な上流支援に集中する
- 人間(採用担当):AIの承認・監督を行い、候補者との面接やアトラクトに集中する

「人が足りないからRPOに頼む」のではなく、AIが実務を完遂するからこそ、人間は人間にしかできない価値発揮に集中できる体制をつくるという考え方です。
AI ATS導入後、人事は何を担うべきか
実務から解放された人間が、本来やるべきことに集中すると何が起きるのか。
先ほどの導入企業では、実行をAIに委ねたことで浮いた時間を「母集団形成」と「候補者と向き合う時間」に集中投下しました。結果として、導入1ヶ月で応募数が想定の2倍以上に増えましたが、採用担当者を2名から1名に集約しても余裕を持って対応できています。
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人間には感情があり、採用は、企業と候補者の感情が交差する究極の意思決定の場です。 だからこそ、実行はAIに任せ、人間は会社の魅力を言語化する「戦略設計」や、候補者の立場に立ってされて嬉しいことを全部やる「候補者体験の向上」、そして目を見て口説き切る「面接」といった、心の通う領域に心血を注ぐべきです。
人が人に好きになってもらう努力を惜しまず、公平な評価で優秀な人材を見落とさない。
そんなAIネイティブな採用組織を一緒につくっていきましょう。
