こんにちは。bgrass代表のだむはです。

採用領域においてのAI推進は今当たり前になってきています。 求人票の作成、スカウト文の生成、AI面接等、特定業務にAIを入れる等、特化型のソリューションが普遍的な一方、現場単位では「思ったより採用現場が楽にならない」という声もまた、多いのが現実です。 その次の波として、AIを労働力と捉え、採用プロセス全体をAIが自律実行する「Agent OS」への導入を検討する企業は、これから急速に増えていくはずです。

そんな中、本番・トライアル導入と、複数社にRecruiting Agent OSであるフェアパスを導入支援してきた中で、うまくいくケースとうまくいかないケースが明確に見えてきており、その理由はほぼ共通しています。 今回は包み隠さず、実際の現場にAIエージェントの本格導入を進めてきた私たちだからこそ現場で見えてきた失敗と成功のパターンをお伝えします。

失敗事例①:A社のパターン

AIと人間と役割分担の設計ができておらず、顧客のいうがままに実装してしまった

まず、A社のパターンです。A社は採用業務におけるAI活用は進めていきたい中で、個人利用に留まっていました、その中で業務の中に組み込んでAI活用を進めていきたいという思いから、ご相談いただき支援を開始いたしました。 結果として、我々が力不足でうまく運用に乗せることができなかったのですが、これからAIネイティブな業務フローに再設計していく上で、とても学びになる内容なので、シェアさせていただきます。

A社でうまくいかなかった理由としては、AIがどこまでを実行し、人間はどこに入っていくべきか、というAIと人間の役割分担をするべきところを、顧客・ユーザー側、自分たちも曖昧なままで進めてしまいました。例えば、実は書類のスクリーニングは一番AIの自動化ができそうで、できない部分だったりします。採用担当者は優秀な人材を絶対に見落としたくないので、結局経歴や職歴書は直接確認することになります。評価が関わる部分はAIに完全に代替することはできないのです。

「AIを入れて楽にしてほしい」という顧客の要望をそのまま聞くのではなく、人間が書類スクリーニングや評価するにあたっての脳の負荷を下げるためにどう工夫するか、というところをきちんと顧客と一緒に設計してあげるべきでした。 顧客の要望に対して、なぜそれをやりたいのかを深掘りせず要望だけを受け付けてしまったため、AIネイティブな採用フローという観点で検討することができず、運用に乗りきらずに終わりました。

2つ目の理由は、属人的な個人の運用ルールを言語化できなかったことです。 オペレーションを担当する人と採用書類を担当する人との間には、言語化されていない運用ルールが存在していました。

例えば「ステータスはこのタイミングで変えて、メモ欄に見送りか通過か入れておく」「その後にオペレーターがそれを見て見送り連絡などを行う」といった暗黙のルールです。 こうした属人的な運用ルールは顧客自身も無意識に行っており、ヒアリングだけしても出てこない場合が多々あります。そのため、運用構築の前に現状利用しているATSや業務フローに入り込ませていただき、私たちで気づいて運用を整理してあげるというのが必要でした。

A社の場合の失敗事例

AIエージェントを本番で導入するには、AIと人間の役割分担を顧客の要望のまま決めるのではなく、なぜそれを望むのかを深掘りしたうえで、こちらから設計して提示する必要があるということをA社の事例では痛感させられました。

書類スクリーニングのように、一見AIに任せられそうで実は人間の評価が欠かせない領域もあるからこそ、AIと人間の役割分担を曖昧なまま進めるのではなく、顧客の要望の背景や意図、なぜそれを行っているのかまで踏み込むこと、また、採用担当個々人の属人的な運用ルールは表面的なヒアリングだけでは引き出せず、こちらが実際のATSや業務フローに入り込み、動きをチェックする中で拾い上げていく必要があることも見えてきました。この2つの気づきを活かし、同時並行で進めていたB社のトライアルに臨みました。

失敗事例②:B社のパターン

AIがない時代に設計された採用業務フローの上にAIを無理やり合わせようとした

B社は全社的にAIの活用を進めようとしている中で、採用業務も応募者が増え逼迫していたため、担当者がオペレーションにかなりの工数を使っていました。そこで、AIでオペレーションの工数を削減したいということでご相談をいただきました。

1番の反省ポイントとしては、AIが出てくる前の時代に構築された採用業務フローは変えずに、その上から無理やり AI活用して部分最適しようとしてしまったことです。 失敗①で学んだことを活かし、AIができるところ、できないところ、人間がやるべきところを事前に運用設計し、顧客の要望があっても丁寧に説明をして進めていました。

 フェアパスは、ツールの提供だけでなく、AIの実行に責任を持つAIオペレーター(人間)も一緒に入らせていただきます。なので、一次選考などの人間の機微が乗りにくい領域はフェアパスAIとAIオペレーターが行い、それ以降の、人間の機微が運用に載るフェーズは人事担当者が行う、というAIと人間の役割分担を設計し、実行するところまではできました。

しかし、従来の業務フローの上にどうAIを載せるのかという発想で考えてしまったからこそ、今の運用にどう合わせるかをメインに考えてしまい、AIネイティブな業務フローを柔軟に提案したり、運用を変えていくことができませんでした。動きづらい形になってしまった、というのが正しい表現かなと思います。このような形で運用に載せてもROI的な部分まで結果が出せず、惜しかった、というのが正直なところです。

役割分担を設計しても、土台となる業務フローそのものが変わらなければ意味がない、というのがB社から得た学びでした。今の運用に合わせてAIを組み込むのではなく、AIネイティブな業務フローに再設計する前提で運用そのものをゼロから組み直す必要がある。そう気づけたことが、教訓として導入成功した企業では活きていきます。

ただ、この「ゼロから組み直す」という発想が、どんな企業にもそのまま当てはまるわけではない、ということも、次のC社で思い知ることになります。

B社の場合の失敗事例

失敗事例③:C社のパターン

人力で運用した方が早いパターン

C社に関しては、現在の採用においての課題が明確で、業態が人手が必要な事業であるため、採用のスピードを早めたいといったものでした。

しかし、そもそも人手がまずは必要という業態においての採用活動では、大量採用でスピードが重要で、イレギュラー対応というより、テンプレ通りにスピード感を持って進みます。イレギュラーな対応の場合は、電話対応で完結するような場合が多く、コンテキストも揃えづらい状態でした。また媒体を1つしか使っていない場合や、データの接続するべきものが多くない場合には、AIを活用するよりも、人間の労働力や馬力でゴリゴリ進めた方が早い企業ももちろんある、ということが分かりました。

フェアパスはデータをたくさん繋ぐところに強みがあります。 だからこそ、1つの媒体のみの利用や、データではなく人の介在がメインの企業など、どんな企業にもAI活用が有効なわけではないと見極められるようになったのは、C社から得た教訓です。

まとめ

3つの失敗パターンから見えてくる結論は、とてもシンプルです。 AIエージェントの導入を「今の業務に便利なツールを足して、少しラクをするためのもの」と考えて導入すると、中々運用に載ることが難しくなってしまいます。

人間の暗黙知を言語化せずに進めたり、AIがない時代の業務フローにそのままAIを乗せようとするのは、突き詰めれば「今の運用を変えたくない」という現状維持の意識が根っこにあるように思います。そして、そもそも人間の力で進めた方が早い企業もある。だからこそ、最初の見極めと設計が何よりも大切なのだと思います。

現場のリアルを見てきて確信したのは、採用AIエージェントの導入は「新しいツールをいれる」のではなく、「AIネイティブな組織の再設計」だということです。 今の運用を起点にAIを付け加えるのではなく、AIが自律駆動する前提で、採用組織図をAIネイティブにゼロからドラスティックに描き直していく。この視点と、運用をAIを前提に設計し直す覚悟を持てるかどうかが、成功と失敗を分ける大きな差になると考えています。

失敗事例3パターン

フェアパスは人事の仕事を面接だけにします。 便利なツールを探すのではなく、本気で「AIネイティブな採用組織」へアップデートしていきたい。そう考えている方は、まず何からAIにまかせて、どこまで任せることができるのかを以下のWPからご確認ください。