【エグゼクティブリード】 面接の発言を書き起こして要約するAI議事録は、もはや珍しい機能ではありません。だからこそ問われるのは、文字起こしができるかどうかではなく、その記録がどこに置かれ、何と繋がっているかです。文字起こしツール単体での導入と、実務を直接実行する採用AIエージェントOSが面接データを持つことの違い、そして実装の背景を書きます。

こんにちは。bgrassでBizDevを担当しているまいかです。

今週は、新しくリリースしたフェアパスのAI面接議事録など、様々な新機能をテーマに書いています。 これまでもフェアパスをご利用いただいている企業様の中には、別の文字起こしツールで記録を取り、その要約を人事がフェアパスに連携する形で実務を回してくださっているケースが多くありました。それだけでも日程調整や連絡といった実務は十分に回っていました。

ただ私たちは、面接という選考の中心にある情報を、最初から実務と同じ場所に置くことにこだわって、この機能を実装しました。 その理由と、この機能で実現したい採用組織のあり方についてお伝えします。

面接の一次データを、実務と同じ場所に置きたかった

採用において、もっとも価値のある一次データはどこで生まれるでしょうか。

それは面接の現場です。 候補者がどんな表情で、どんなディテールを語ったのか。面接官が候補者のどの発言に引き込まれ、逆にどの部分に懸念を抱いて合否を判断したのか。そのすべてが面接の中にあります。

従来の採用活動では、この選考判断の根拠である面接の内容という最も価値のあるデータが、実務の現場(ATSや連絡ツール)から切り離されていました。 面接の一次データを、別のツールから渡すという手作業を挟むことなく、最初から実務を動かすAIエージェントと同じ場所に置きたい。 私たちがAI議事録を自社で実装した目的は、綺麗な議事録を作成して人事のメモの手間を省くことではありません。選考の中で最も重要な判断の一次データを、日々の実務を回す場所に集約するためです。

記録が点在していると、何が起きるか

多くの採用現場では、情報がツールごとに点在しています。

  • 文字起こしや議事録はツールA
  • 選考ステータスや評価シートはATS
  • 候補者や紹介会社への連絡はSlackやメール このようにデータが繋がらずに置かれていることで、現場では見えにくい形で実務の詰まりが起きています。

**評価の入力が億劫になる ** 評価を入力しようとするたびに、別ツールの書き起こしを開いて、該当する発言やニュアンスを探し出す手間がかかる。

**評価が返ってこない ** 目の前の業務に追われる面接官は、白紙の評価欄を埋めることを後回しにし、そのまま止まってしまう。

**情報の見落としを起こしてしまう ** 面接官がメモに重要な懸念を書いていたとしても、それが次の選考の面接官や人事、紹介会社への申し送りに引き継がれず、流れていってしまう。

「面接官が評価を入れてくれない」「面接での懸念が次のステップに活かされない」という問題は、個人の意識の問題ではありません。情報がそれぞれのツールに分散し、実務と切り離されている構造から生まれています。

実装で狙っている3つのこと

私たちがフェアパスにAI議事録を実装したことで、実現しようとしているのは以下の3つです。

1. 評価のブレを防ぐ 面接の会話と判断根拠がそのまま記録に残るため、後から「なぜこの評価になったのか」を振り返ることができます。 これにより、面接官ごとに見ている観点の違い(技術力を重視する面接官と、カルチャーを重視する面接官の判断基準のズレなど)が可視化され、当初定義した求人票の要件と実際の選考基準にズレがないかを突き合わせられます。

2. 評価漏れを減らす 面接が終わった時点で、AIが記録から評価に必要なサマリを作成します。 面接官は、真っ白なテキストボックスを前に何を書こうか悩む必要がありません。AIが下書きしたサマリを確認し、必要に応じて追記・修正するだけで評価入力が完了します。入力の負荷が下がることで、評価が止まったままになる件数を減らせます。

3. ツールの行き来をなくす 「書き起こしツールで面接を振り返り、ATSを開いて評価を記入し、メールソフトを立ち上げて候補者に連絡文を作る」という移動がなくなります。 すべてがフェアパスという一つの場所で完結しているため、面接が終了した時点で、合否入力、連絡文の下書きなど、次のアクションがすでに用意されている状態をつくります。

AI議事録で一次データが揃うと、次の「実行」と「打ち手」に繋がる

今回の実装で、私たちが最も本質的だと考えているのがこの部分です。 面接の一次データが、履歴書の内容やこれまでの選考ステータス、候補者とのやり取りと同じ場所に溜まることで、それは過去の記録ではなく次の実務を動かす材料に変わります。

具体的には、以下のような循環が回り始めます。

**次の面接へのバトンタッチ ** 一次面接が終わるとAIが評価サマリを作成し、その対話を踏まえて「二次面接ではこの懸念点をどう深掘りすべきか」という次回の面接官向けのアジェンダを用意します。

**パーソナライズされた連絡 ** 通過連絡を送る際、面接の中で候補者が特に興味を示していた事業課題やカルチャーの話題をAIが拾い、その内容に合わせた案内文を下書きします。

**お見送りフィードバックの作成 ** お見送りの場合も、面接内での実際のミスマッチ部分をもとに、納得感のあるフィードバック内容を、紹介会社向け、あるいは候補者向けそれぞれにAIが裏で作成します。

さらに、この一次データが求人単位・組織単位で蓄積されていくと、一件ごとの実務を超えた採用精度を上げるための打ち手に使えるようになります。

  • 面接官ごとの合格率や評価の偏りをデータで可視化する
  • 通過している人と見送っている人の分岐点を分析する
  • 求人票に書かれた要件と、実際の現場の判断基準とのズレを検知する

採用改善モデルイメージ

もちろん、他の議事録ツールで記録を取って、その内容をフェアパスに入れていただければ、同じように次の実行や打ち手に繋げることはできます。 ただ、最初から繋がった状態で記録されていれば、渡す工程がない分だけ入力の漏れが起きにくくなります。後から見返すときにも、候補者の情報と一緒に並んでいるので探す手間がかかりません。

実務を実行しているAIが記録しているからこそ、その面接データがそのまま次の実行と次の打ち手にシームレスに繋がっていきます。

まずは1求人から、実務を任せてみる

「便利そうだけれど、社内のツールや面接の運用を一気に変えるのは、現場の調整も含めてハードルが高い」 そう思われる方も多いと思います。いきなりすべての選考やツールを切り替える必要はありません。

まずは、採用が難航している、あるいは面接官の評価のすり合わせに苦戦している1つの求人だけで試してみてください。1求人でも実務と面接の一次データが繋がる状態をつくると、推薦のズレが減る、評価入力がスムーズに返ってくるといった変化を、現場に負担をかけずに実感していただけるはずです。

AI議事録で作られた面接データを、評価・次のアクション・採用基準の更新にどう繋げていくのか。その具体的な流れをホワイトペーパー『面接データを採用資産に変える AI面接議事録設計ガイド』のホワイトペーパーにまとめています。

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執筆者|まいか bgrass株式会社|BizDev 採用AIエージェント「フェアパス」の導入現場で、採用オペレーションの設計・改善支援に従事。フリーランスとしても複数企業の採用支援・採用戦略立案を担当し、採用実務とAI活用の両面から現場に伴走している。