月200〜300件以上の応募がある中途採用の現場では、「一人ひとりに丁寧に対応すること」と「必要な対応量を担保すること」が、対立するものとして語られがちです。しかし、本当にどちらかを諦めなければならないのでしょうか。私たちが、この規模の応募に対応する企業との商談や導入支援を重ねる中で見えてきたのは、人を増やすだけでも、汎用AIを部分的に使うだけでも、この問題は解けないということでした。

こんにちは! bgrass事業責任者のゆあさです。

最近の商談でも、「応募は増えているのに、一人ひとりへの対応がどうしても粗くなってしまう」という相談をよく受けます。今回は、なぜ一定の応募数を超えると対応の丁寧さを維持しにくくなるのか。そして、複数の採用AIエージェントを共通の判断基準で束ねる「採用AIエージェントOS」を採用プロセスへ組み込むことで、速さと丁寧さをどう両立できるのかを、実際の事例をもとに整理します。

中途採用では「丁寧な対応」と「必要な対応量の確保」の両立が難しい

中途採用は、新卒一括採用と違って通年で細く長く続きます。応募のタイミングも、候補者の背景も、転職を考えている理由もそれぞれ違います。ここに応募数が積み重なってくると、「画一的に流して丁寧さを犠牲にする」か、「一人ひとりに時間をかけて対応が遅れる」かの二択に近づいていきます。

私たちが商談や導入支援を通じて見てきた中では、月200〜300件以上規模は、対応量と丁寧さの両立に課題が表れやすい帯域でした。担当者が一件ごとの状況を、頭の中だけで追い切れるほど少なくはなく、かといって画一対応で割り切っていい規模でもありません。

「速く、漏れなく、丁寧に」を分解する

「AIでも丁寧に対応できます」だけでは、何が変わるのか伝わりません。私たちは、採用における丁寧さを次の4つに分解しています。

  • 速さ:応募後、必要な連絡がすぐに届く
  • 漏れのなさ:日程調整や評価、フォローが滞らない
  • 個別性:候補者の状況に合わせた内容で案内される
  • 一貫性:候補者に応じて対応を変えながらも、判断基準や品質はぶれない 応募数が月100件前後から200件超へ増えたある企業では、エントリーから一次選考までの平均リードタイムが3.7日から1.4日に短縮されました。応募数が約2倍になっても、候補者を待たせる時間は半分以下になっています。

採用代行(RPO)からフェアパスへの切り替えを進めている企業でも、担当者から「現時点では対応漏れも起きていない」と評価いただいています。

丁寧さは、速さや漏れのなさだけではありません。たとえばデザイナー職では、面接前にポートフォリオの提出が必要です。以前は、担当者が応募職種を確認して一人ずつ依頼していたため、面接直前になって未提出に気づくこともありました。フェアパス導入後は、候補者の応募職種と選考状況に応じて必要な提出物を判断し、日程調整とあわせて案内しています。

採用における丁寧さとは、一人に長い時間をかけることではありません。候補者ごとに必要な対応を判断し、速く、漏れなく実行する。その対応を次の運用にも反映し、応募数が増えても品質が崩れない状態をつくることです。

自社に合う人材を紹介してもらうには、人材紹介エージェントにも丁寧に向き合う

中途採用で丁寧に向き合う相手は、候補者だけではありません。人材紹介エージェントとのコミュニケーションも、採用成果を左右します。

企業側が「自社に合う人材を紹介してほしい」と考えていても、選考結果を「見送りです」とだけ返していては、人材紹介エージェントは何が合わなかったのかを理解できません。その状態では、次に紹介される候補者の精度も上がりません。

選考で評価した点、採用要件と合わなかった点、次に紹介してほしい人物像を具体的に返す。こうしたフィードバックを積み重ねることで、人材紹介エージェント側の企業理解が深まり、自社に合う人材を紹介してもらいやすくなります。

しかし、応募数が増えるほど、一件ごとに評価内容を整理し、人材紹介エージェントへ返信する余裕はなくなります。返信が遅れたり、定型的な見送り連絡だけになったりすると、目の前の候補者対応だけでなく、次の母集団形成にも影響します。

丁寧な中途採用とは、候補者体験を整えることだけではありません。人材紹介エージェントにも判断理由を返し、次の紹介精度を一緒に高めていくことまで含まれると考えています。

「人を増やす」「汎用AIを部分的に使う」だけでは解決しない

月300〜400件の応募に対応しているある企業では、繁忙期には応募が1,000件を超えることもあります。オペレーションとスカウトを合わせて2名に外部委託していますが、それでも担当者自身が多くの実務を手作業でこなしていました。委託の稼働をこれ以上増やすのはコスト的に難しく、担当者は自ら汎用のAIチャットツールを使って効率化を試みていましたが、個人の工夫だけでは業務プロセス全体には組み込まれず、効果は限定的だったといいます。

別の企業の採用担当者も、一次スクリーニングやスカウト文章の作成の一部を自動化してはいたものの、業務全体への組み込みには至らず、効果は限定的だと感じていました。人を増やす方法は、応募数が増えるほどコストも膨らみます。一方、汎用AIをスポットで使うだけでは、応募から日程調整、評価、フォローまでの一連の流れがつながりません。

では、必要な業務をすべて外部へ任せれば解決するのでしょうか。処理量は補えても、もう一つ残るのが「自社の判断基準をどこに蓄積するか」という問題です。

外部に任せるだけでは、判断基準が組織に残らないことがある

採用代行に日程調整や一次対応を任せていたある企業では、代行側が担っていた判断を自社で確認する運用へ切り替えたことで、判断基準の認識差や、確認によるタイムラグが見えるようになりました。

運用を外部へ委ねる際、判断基準が十分に言語化されていないと、実務上の判断が代行担当者の経験や解釈に依存することがあります。理解し合えていると思っていても、蓋を開けてみると「あれ、ここはそういう理解だったのか」とズレに気づく場面が何度もありました。対応の一貫性を保つには、自社の判断基準を言語化し、組織の資産として蓄積・更新できる状態が必要です。

採用AIエージェントOSを、採用プロセス全体に組み込む

採用業務が難しいのは、定型業務の中に多くの例外対応が混ざっているからです。日程調整ひとつでも、候補者の希望、面接官の予定、選考ポジション、対応期限によって、次に取るべき行動は変わります。

決められた処理を繰り返す従来の自動化は、こうした例外対応が得意ではありません。一方、汎用AIをその都度使うだけでは、個別の作業は効率化できても、そこで生まれた判断が次の選考業務につながらず、組織にも蓄積されません。

  • 従来の自動化:決められた定型処理を繰り返す
  • 汎用AI:指示された個別作業を支援する
  • 採用AIエージェントOS:企業の判断基準に沿って、複数の採用業務をつなぎ、次の対応まで実行する フェアパスは、日程調整、候補者対応、評価回収、進捗管理などを担う複数のAIエージェントを、企業共通の判断基準で動かす「採用AIエージェントOS」です。候補者情報や選考状況を確認し、通常の対応はAIが進め、例外的なケースでは人に判断を求めます。

さらに、選考で蓄積された評価内容をもとに、人材紹介エージェントへのフィードバックレポートも支援します。候補者ごとの選考結果を返すだけでなく、そこで得られた情報を次の人材紹介につなげることで、母集団形成から選考までの改善サイクルをつくります。 

導入時にはFDEが採用現場に入り、募集要件や選考ルールだけでなく、「どこまでAIに任せ、どこから人が判断するのか」まで言語化します。現場で新たな例外が発生した場合も、その判断を一度きりの対応で終わらせず、次回から再現できる運用ルールとしてフェアパスに組み込みます。

実際に、従来の採用代行とフェアパス導入後の対象業務を比較した企業では、現時点の試算で、運用コストが従来のおよそ3分の1に収まっています。ただし、代行が担っていた細かな催促まで、すべてをAIへ移行できているわけではありません。現時点では、AIが通常業務を進め、例外や細かなフォローには人が介在することで、対応品質を維持しています。

目指しているのは、多くの応募を単に「捌く」ことではありません。採用AIエージェントOSがオペレーションを担い、人間は候補者との対話、アトラクト、見極め、意思決定に集中する。丁寧さを人の記憶や頑張りに依存させず、応募数が増えても崩れない採用組織の仕組みに変えていくことです。


月200件以上の応募に対応しながら、一人ひとりの候補者に丁寧に向き合える採用組織へ。

採用AIエージェントOS「フェアパス」が、書類選考・候補者対応・日程調整・評価回収・進捗管理をどのようにつなぎ、実行するのかを資料でご紹介しています。

** フェアパス|人事の仕事を、面接だけにする Recruiting Agent OS ** * フェアパスは、採用組織をAIネイティブに再設計するRecruiting Agent OS。ATS・メール・カレンダー・チャ * * lp.fair-path.jp *

執筆者|ゆあさ bgrass株式会社|事業責任者 HR領域を中心に採用責任者、RPO、新規事業責任者、BizDev、COO等を経験。複数企業の採用現場で採用戦略・採用オペレーション・AI導入支援に従事。現在はRecruiting Agent OS「フェアパス」の事業責任者を担当