RPOを複数社併用すること自体は禁止されていないが、同じ業務範囲を複数社に重複して任せると、候補者情報の分散・評価基準のばらつき・管理工数の増加という困りごとが起きやすい。一方で、職種や拠点で業務範囲が明確に分かれている場合や、RPOと人材紹介のように機能そのものが異なるサービスを組み合わせる場合は、併用が機能するケースもある。
RPOを複数社併用すると、現場では何が起きるか
複数のRPO会社に採用業務を分散すると、候補者情報が各社のやり方でバラバラに管理され、評価基準も揃わないまま、経営者・人事側の確認作業だけが増えるという困りごとが典型的に起きる。
RPO(採用代行)は、人が必要な部分の運用代行を得意とするサービスだが、属人化しやすく改善知見が組織に蓄積しないという性質を持つ[出典: WP19 AI時代の採用組織論]。この性質は1社に委託している場合でも課題になるが、複数社に分けて委託すると、各社の属人化したやり方同士がすり合わないまま並走する状態になり、問題がより表面化しやすい。
さらに、業務を「丸投げ」し自社のビジョンや文化を十分共有しないまま運用すると、委託先は求人票の表面的な情報だけで候補者対応することになり、カルチャーミスマッチが多発するケースが指摘されている。また、導入時に具体的な目標を設定しないと、費用対効果が不明瞭なままコストだけが増加するという失敗例もある[出典: bsearch.co.jp「採用代行(RPO)完全ガイド」]。これが2社・3社分重なれば、確認・突合の手間も単純に重なっていく。
RPOに委託したあとに起きる困りごとの詳細は、採用代行を任せた後に増える困りごとと対処法でも整理している。
なぜ複数社に任せるとノウハウが自社に残らないのか
RPOは「人が運用そのものを代行する」サービスであるため、各社が自社独自のやり方・ツールでオペレーションを回しており、改善の知見がその担当者・その会社に属人化して自社には残らない構造がある。これが併用時に情報の分断として表面化する。
RPOは、採用要件の定義から求人票作成、媒体選定、スカウト送信、応募者対応、日程調整、選考管理まで採用プロセスそのものを外部が設計・代行する「採用プロセスの運営力」を買うサービスだと整理されている[出典: EXTOOL株式会社「採用代行(RPO)と人材紹介の違いと使い分け」]。言い換えると、RPOを使うということは、自社の採用フローをその会社の運営ノウハウに乗せることであり、複数社に分けて委託すれば、自社の採用フローが複数の異なる運営ノウハウの上に分散して乗ることになる。
ATS(採用管理システム)が記録の正本として進捗管理・記録を担うのに対し、RPOは記録するだけでなく運用そのものを担う。しかし運用を担う主体が複数に分かれると、記録の正本であるATSに統一的に情報が集まらず、各社の進捗確認を人事担当者が個別に行う必要が出てくる[出典: WP19 AI時代の採用組織論]。これがノウハウの分断と、確認作業の増加の両方を引き起こす構造的な原因になる。
「RPO複数社の併用」と「RPO×人材紹介の併用」は分けて考える
RPOを複数社使うことと、RPOと人材紹介を組み合わせることは目的がまったく異なり、前者は同じ機能の重複になりやすく、後者は不足している機能を補完する組み合わせになりやすい。
RPOと人材紹介は、どちらが自社のボトルネックか(候補者不足か、体制・仕組み不足か)で選ぶべきものが異なるとされる[出典: EXTOOL株式会社「採用代行(RPO)と人材紹介の違いと使い分け」]。この軸で整理すると、両者の違いは次のようになる。
| 比較軸 | RPOを複数社併用する場合 | RPO×人材紹介を併用する場合 |
|---|---|---|
| 解決しようとしている課題 | 同じ「運営力」を複数社に求めている状態になりやすい | 体制・仕組み不足(RPOが担う領域)と候補者不足(人材紹介が担う領域)を別々に補う |
| 費用の性質 | 月額型同士が重なりやすい | RPOは月額型中心、人材紹介は成功報酬型と性質が異なる[出典: EXTOOL株式会社「採用代行(RPO)と人材紹介の違いと使い分け」] |
| 重複リスク | 同じ業務範囲を複数社が担うと候補者情報・評価基準の分断が起きやすい | 「仕組みの構築・運用はRPO、母集団形成は人材紹介」と役割が分かれているため重複が起きにくい |
RPOと人材紹介の機能・料金の違いについては、AI RPOと人材紹介の違い|機能と料金で比較でも整理している。
使い分けの判断軸:費用構造・ノウハウの蓄積先・管理工数
使い分けは「費用構造が月額型か成果報酬型か」「ノウハウがどこに残るか」「自社側の管理工数がどれだけ増えるか」の3つの軸で判断する。
| 判断軸 | 見るポイント | 参考となる目安 |
|---|---|---|
| 費用構造 | 月額固定型か成果報酬型か | RPOの費用相場は月額固定型で「10万円〜20万円未満」が最多層(回答342人中18.8%)、成果報酬型は採用者の想定年収の20〜45%程度が目安[出典: スマートキャンプ株式会社によるRPO導入経験者342人調査、BOXIL Magazine掲載]。料金体系を尋ねた設問(n=336、複数選択可)では「成果報酬」を選んだ回答者は104人だった[出典: BOXIL Magazine「【342人調査】採用代行(RPO)の費用相場は月額10〜20万円」] |
| ノウハウの蓄積先 | 運用知見が自社に残るか、委託先企業に残るか | 採用AIはATS(記録する台帳)、RPO(人が運用を担うがノウハウが自社に残らない)、実装型AIエージェント(自社の採用フロー・評価基準をAIに実装し自律的に動かす)の3カテゴリに整理できる[出典: 採用×AIの完全ガイド 2026年最新版] |
| 管理工数 | 委託先が増えるほど自社側の確認・突合作業が増えるか | 委託先ごとに進捗確認・情報の突合が発生するため、会社数が増えればその分だけ自社側の確認作業も増える |
RPOと実装型AIエージェント(AI RPO)の違いについては、RPOとAI RPOの違いとは?定義・料金・選び方で詳しく解説している。
対処の選択肢1:契約前に業務範囲とKPIを会社ごとに明文化する
複数社併用で起きる困りごとの多くは、業務範囲とKPIを事前に明文化していないことが原因なので、まず範囲とKPIをRPO各社ごとに分けて定義することが対処の第一歩になる。
- 業務範囲を重複させずに切り分ける:どの会社がどの工程(書類選考・日程調整・面接対応など)を担うかを明文化し、同じ工程を複数社に依頼しない
- 会社ごとにKPIを設定する:採用までの時間(time-to-hire)、採用単価(cost-per-hire)、採用の質(quality of hire)、候補者満足度、定着率といった指標を会社ごとに設定する[出典: AMS(Alexander Mann Solutions)「Maximizing ROI with RPO」]
- 国内の実務でも同様の指標が使われている:タイムトゥフィル、採用単価、内定承諾率、候補者エンゲージメント率、採用担当者(ハイヤリングマネージャー)満足度スコア、NPSやCSAT、SLA遵守率などをベンチマークとして追跡する考え方がある[出典: Unity Connect「9 KPI Benchmarks in RPO Programs to Track Performance」]
- ビジョン・文化を事前に共有する:共有が不足すると、委託先は求人票の表面的情報だけで候補者対応することになり、カルチャーミスマッチが多発するリスクがある[出典: bsearch.co.jp「採用代行(RPO)完全ガイド」]
- 定期的なレポートで進捗を確認する:目標を設定しないまま運用すると、費用対効果が不明瞭なままコストだけが増加する失敗例がある[出典: bsearch.co.jp「採用代行(RPO)完全ガイド」]
RPO導入後に起きやすい問題と対処の選択肢は、RPO導入後に起きる困りごとと対処の選択肢でも扱っている。
対処の選択肢2:分散した運用を1つの基盤に統合する
役割分担を明文化しても、複数社がそれぞれ別のやり方・ツールで動く限り情報分断の問題は残るため、根本的に解消したい場合は候補者対応・日程調整・記録を1つの基盤で自律的に回す仕組みに置き換える選択肢がある。
特化型AI(Point Solutions)やRPOは工程の「中」を速くすることはできても、工程の「あいだ」(転記・日程調整・評価回収・リマインド・引き継ぎ)は人に残る構造がある[出典: WP20 AIネイティブ採用組織への移行ガイド]。RPOを複数社に分けて使う場合も同様で、各社が担当する工程の間をつなぐ役割は、結局は自社の人事担当者に残る。
この状態に当てはまるかどうかを判断するチェックリストとして、「特化型AIを1つ以上導入している」「AIの前後に手作業が残っている」「候補者情報が複数ツールに分散している」「確認・転記・催促が減っていない」「ツール追加で管理画面が増えた」「候補者対応よりオペレーションに時間を使っている」「AIを個別ツールの導入として捉えている」という7項目が挙げられており、このうち3つ以上当てはまれば、次に必要なのは新しい特化型AIではなく、採用実務全体を統合する仕組みだとされている[出典: WP20 AIネイティブ採用組織への移行ガイド]。複数社併用で候補者情報が分散している状態は、このチェックリストの「候補者情報が複数ツールに分散」に該当しやすい。
採用AIを分類すると、ATS・RPOに続く第3のカテゴリとして、自社の採用フロー・評価基準をAIに実装し自律的に動かす「実装型AIエージェント」がある。この特徴は「ツールに自社フローを合わせる」のではなく「ツールが自社フローに合わせる」ことで、最終的な採否判断は必ず人が行う[出典: 採用×AIの完全ガイド 2026年最新版]。
統合型の提供体制の一例として、フェアパスは自社の提供体制について、チャット起点で日程調整・連絡・更新を自律実行する共通基盤が約8割、FDE(Forward Deployed Engineer)による個社最適が約2割という構成を取っており、FDE供給の背景に3,500人規模のエンジニアコミュニティがあるとしている(bgrass社内データ、自己申告)[出典: WP17 「AI駆動採用」実装ロードマップ]。これは数ある統合型アプローチの一例であり、複数社併用で分散した運用を1つにまとめる際の選択肢の一つとして紹介するものである。
採用AIエージェントの仕組みそのものについては、採用AIエージェントとは?仕組みと定義を解説で詳しく説明している。
結局、複数社併用と統合、どちらを選ぶべきか
複数社併用が向くのは職種や拠点で業務範囲が明確に分かれているケースで、向かないのは同じ業務を重複して複数社に任せて比較しているだけのケースであり、後者は統合を検討すべきサインである。
- 向くケース:職種別・拠点別で業務範囲が明確に分かれている(例:エンジニア採用はA社、店舗スタッフ採用はB社に委託し、工程の重複がない)
- 向くケース:RPOと人材紹介のように、仕組みの構築・運用(RPO)と母集団形成(人材紹介)で役割分担されている[出典: EXTOOL株式会社「採用代行(RPO)と人材紹介の違いと使い分け」]
- 向かないケース:同じ業務範囲を複数社に重複依頼し、実質的に比較・競わせているだけで、進捗確認が自社側の負担になっている
- 統合を検討すべきサイン:前述のチェックリスト7項目のうち3つ以上に当てはまる場合、次に必要なのは新しい委託先の追加ではなく、採用実務全体を統合する仕組みである[出典: WP20 AIネイティブ採用組織への移行ガイド]
まとめ:RPOの複数社併用は、候補者対応と設計・管理のように役割が明確に分かれている場合は機能するが、同じ業務を重複して複数社に任せると候補者情報の分散・評価基準のばらつき・管理工数の増加という困りごとが起きやすい。使い分けの基準は、ノウハウをどこに蓄積させたいかと、管理工数を誰が吸収するかで決める。
よくある質問
RPO各社に同時に相見積もりを取るのは「併用」に当たりますか? 契約前の比較検討としての相見積もりは一般的で問題にならない。問題になるのは契約後に同じ業務範囲を複数社へ重複して依頼し、管理工数が増えるケースであり、契約前の比較と契約後の併用は分けて考える必要がある。
RPOと自社の人事担当が並行して動く場合も複数社併用と同じ問題が起きますか? RPOが実務を代行し、自社が意思決定を行うという役割分担が明確であれば、情報分断や評価基準のばらつきといった問題は起きにくい。問題が起きやすいのは、同じ業務範囲を複数の主体(RPO同士、またはRPOと自社)に重複して任せている場合である。
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著者:フェアパス編集部
この記事は、AIを使って作成し、編集部が内容を確認しています。