RPO(採用代行)を導入した後によくある困りごとは、社内にノウハウが残らない、費用対効果(ROI)が見えなくなる、応募対応や内定辞退フォローなど候補者との接点が弱くなる、契約期間中に方針転換できない、の4つに集約される。多くの原因は、委託する業務の範囲・責任の所在・成果指標(KPI)を契約時に明文化していないことにある。対処には、今の契約を見直す方法と、実行業務を段階的に自社(採用オペレーションAIの活用を含む)に戻していく方法の2つの選択肢がある。

RPO導入後にはどんな困りごとが起きるのか

代表的なのは、社内にノウハウが残らない、ROIが見えなくなる、応募の質や内定辞退対応など現場接点が弱くなる、契約期間中に方針転換できない、の4パターンである。

HR業界で20年の現場経験を持つ筆者による解説記事では、RPO導入の失敗例として次の5パターンが紹介されている。

  • 「丸投げ」しすぎて社内に採用ノウハウが何も残らなかった
  • 高額プランを契約したもののROIが合わなかった
  • 求人票だけ綺麗になり応募の質が下がった
  • 面接官が変わらず内定辞退が続出した
  • 契約期間中に方針転換できず機会損失した

[出典: km3-creative.jp「採用代行(RPO)サービスとは?20年の現場経験者が教える失敗しない選び方と料金相場」] この整理は統計調査ではなく、著者の実務経験に基づく分類である点には留意したい。

これに加えて、RPO事業者に実務を任せたまま対応内容や結果の共有を怠ると、自社の採用担当者が採用プロセスの知見を把握できず、契約終了後に自社で採用業務を継続することが難しくなる可能性があると指摘されている[出典: パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社「RPOとは?採用代行に委託できる業務範囲・メリット/デメリット・導入企業の特徴」]。この指摘もRPO事業者自身による一般論であり、特定の調査データに基づくものではないが、「ノウハウが残らない」という困りごとの背景を理解するうえでは参考になる。

困りごとの多くは、委託範囲と責任の所在が契約時に明文化されていないことから起きる

委託範囲・判断の権限・KPIを事前に取り決めていないと、何が自社の責任で何がRPO事業者の責任か曖昧になり、情報共有の抜け漏れやノウハウの未蓄積につながる。

RPOは業務委託契約として提供されることが多く、日々の進め方や担当者の管理は原則として受託事業者側が担う構造になっている。この実態を踏まえると、導入前に責任の所在や運用ルールを自社側で整理しておくことがリスクを下げるとされる[出典: パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社「RPOとは?」]。

加えて、委託する業務の範囲(ノンコア業務に限定するか、戦略立案まで含めるか)を明文化し、月次のスカウト返信率・選考通過率などのKPIを契約時に共有する仕組みを作らなければ、効果を定量的に測定できず、ROIが見えない状態に陥りやすい。採用データや改善履歴を自社でアクセスできる形で管理させることも、将来的な資産として活用するためには欠かせないとされる[出典: パーソルテンプスタッフ「RPO(採用代行)とは?RTOやBPOとの違いや導入メリット、留意点を解説」]。

さらに、社内の状況や規則といった自社側の情報共有をこまめに行い、伝え漏れがないようにすることも、契約前にすり合わせておくべき論点として挙げられている[出典: doda(パーソルキャリア)「RPO(採用代行)とは?委託できる業務や費用相場・導入の流れを解説」]。これらの論点が曖昧なまま運用が始まると、前節で挙げた「ノウハウが残らない」「ROIが見えない」という困りごとが起きやすくなる。

委託範囲を明確にしても残る原因:『工程のあいだ』の実務は結局どこかに残る

RPOや特化型AIが選考の工程そのものを速くしても、転記・日程調整・評価回収・リマインド・引き継ぎといった工程の『あいだ』の実務は、委託先か自社かのどちらかに必ず残る。

採用オペレーションAIを提供するフェアパスの整理では、AI面接などの特化型AIは選考の工程そのもの(面接の実施や評価)を速くするが、工程と工程の"あいだ"にある転記・日程調整・評価回収・リマインド・引き継ぎといった実務は人の手に残り続けるとされる。たとえばAI面接を導入しても、日程調整や面接官のアサイン、評価の回収・記録は別途人が担うことになる[出典: フェアパス「AIネイティブ採用組織への移行ガイド」2026年7月公開]。

この構造はRPOにもそのまま当てはまる。委託範囲を明確にしても、委託先の担当者が候補者への連絡や日程調整、ステータス更新を人手で処理している限り、担当者の交代や引き継ぎのたびに情報が分断されるリスクは残る。つまり、契約の見直しだけでは解消しきれない部分がある。

対処①:契約を見直し、委託範囲・責任・KPIを再定義する

今の委託先・契約を続ける場合は、委託する業務とノンコア業務の線引き、月次のKPI(スカウト返信率・選考通過率など)の共有方法、ノウハウを自社に戻す仕組みを契約更新時に明文化することが対処になる。

  1. 委託する業務とノンコア業務の線引きを明文化する:ノンコア業務のみを委託するのか、戦略立案まで含めるのかを契約更新時に決める。
  2. 月次のKPI共有方法を取り決める:スカウト返信率・選考通過率などを定期的に共有してもらい、効果を定量的に測定できるようにする。
  3. ノウハウを自社に戻す仕組みを作る:採用データ・改善履歴を自社でアクセスできる形で管理させ、将来的な資産として活用できるようにする。

[出典: パーソルテンプスタッフ「RPO(採用代行)とは?RTOやBPOとの違いや導入メリット、留意点を解説」]

なお、採用業務量が多く戦略立案に手が回らない企業や、複数拠点・複数媒体で選考フローが異なり品質にばらつきが生じている企業は、委託を続けながら契約を整備する方が合理的なケースが多いとされる[出典: パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社「RPOとは?」]。逆に、導入前の段階で委託範囲や責任の所在をどう決めるべきか整理したい場合は、RPO導入前の社内準備|任せる前に決めることで詳しく解説している。

対処②:実行業務を段階的に内製化し、RPOの役割を縮小する

契約を見直すだけでは解決しない場合、既存のRPO・ATSを残したまま一部業務から実行レイヤーをAIに移し、RPOの範囲を繁忙期の専門支援や例外対応に縮小していく段階移行が選択肢になる。

フェアパスが整理する3フェーズ移行は次の通りである。

  1. フェーズ1 部分導入:一部の求人・定型業務から着手し、既存のATSやRPOはそのまま残す。
  2. フェーズ2 実行業務の移管:AIが担う範囲を広げ、外部委託は繁忙期の専門支援や例外対応に縮小する。
  3. フェーズ3 AIネイティブ統合:応募受付からデータ更新まで一気通貫でAIが担い、既存ATSは記録の正本として残す。

[出典: フェアパス「スイッチングコストゼロ 採用AI設計図」2026年7月公開]

採用オペレーションAIであるフェアパスの自社LPでは、候補者への連絡、面接の日程調整(面接官の予定を見て候補日を作り、案内し、返信を待ち、確定し、更新する)、選考ステータスの更新、リマインドをフェアパスが担い、媒体ごとに分かれていた連絡もまとめて対応すると説明している[出典: フェアパス公式サイト、2026年10月時点]。ただし対応範囲は企業の運用・ATS・媒体によって変わるため、導入前に対応範囲を確認する必要がある。

フェーズ2以降で社内の体制をどう作るかについては、AI RPO導入後の社内体制の作り方で詳しく解説している。

対処③:自社はどの入口から内製化を始めるべきか

RPO・BPOに月次費用を払ってきた企業は『外部委託の最適化から』始めるパターンに該当しやすく、基幹ATSとの連携を優先すべき企業や、少人数体制の逼迫解消を優先すべき企業とは入口が異なる。

パターン 対象となる企業 入口
A 外部委託の最適化から RPO・BPO・採用アシスタントに月次費用を払っている企業 外部委託費用をAIに置き換えるところから始める
B 基幹ATSとの連携から 上場企業・大規模組織 既存の基幹ATSとの連携を優先する
C オペレーション逼迫の解消から 少人数〜ひとり人事 オペレーション逼迫の解消を優先する

[出典: フェアパス「スイッチングコストゼロ 採用AI設計図」2026年7月公開]

RPOにすでに月次費用を払っている企業は、パターンAに当てはまりやすい。実際にフェアパスへの導入相談では、「人事+フェアパス+既存ATS」という構成——ATSはデータ記録用として残し、実行レイヤーだけをAI化する形——が相談の半数以上を占めるという(件数・期間は非公開)[出典: フェアパス公式note、2026年7月公開]。

導入時は、FDE(現場入りエンジニア)が現場に入り込み、担当者だけでなく決裁者と現場実務者も巻き込みながら、暗黙知の言語化とAIへの実装を進めるという進め方を取っている[出典: フェアパス「採用業務は、どこからAIに移せるのか」]。

対処④:ATSは記録に残し、日々の実務をAIエージェントに任せる体制に切り替える

ATSなどの記録システムは候補者情報・選考履歴を蓄積する場所として残しつつ、日々の連絡・日程調整・進捗更新といった実務はAIエージェントが担う、という役割分担に切り替えることで、RPOに委託していた実行業務を自社の管理下に戻せる。

フェアパスの見解として、ATS(System of Record)は候補者情報や選考履歴を蓄積する場所として残し、日々の操作や実務はAIエージェントが担う、という役割分担が示されている。これは既存ATSにAI機能を追加する「AI ATS」の発想とは異なる[出典: フェアパスnote「ATSは記録し、AIエージェントが仕事を進める。『AI ATS』の次に起きること」2026年8月公開]。詳しくはATSは記録し、AIエージェントが仕事を進める。「AI ATS」の次に起きることでも解説している。

費用面では、フェアパスが匿名3社を対象に行った試算が参考になる。

企業(規模) 従来の外部委託費用 AIエージェント活用後 変化
A社(月150〜300応募) RPO費用 月額約40万円 ATSは残し、AIトークン費 月額約17万円 月額約23万円のコストダウン(試算)
B社(月30〜50応募) RPO約70万円+ATS約8万円=約78万円 AI費約8万円+ATS約8万円=月額16万円 月額約62〜63万円のコストダウン(試算)
C社(月約140応募) 2名体制の運用で月額約70万円 AIトークン費 月額約17万円 月額約53万円のコストダウン。オペレーション工数1/4(工数1/4のみ実績、費用は試算)

[出典: フェアパスnote「AI ATSで採用コストはどこまで削減できる?ATS+AIの費用対効果を3社の事例で解説」2026年7月公開]

いずれも匿名3社によるフェアパスの試算であり、母数はn=3社にとどまる。C社の「工数1/4」のみ実績値で、それ以外は試算値である点には注意が必要である。

まとめ

  • RPO導入後の困りごとは、ノウハウ喪失・ROI不透明化・現場接点の弱さ・契約の硬直性の4つに集約される
  • 原因の多くは、委託範囲・責任・KPIが契約時に明文化されていないこと
  • 対処は、契約の再定義と、実行業務の段階的な内製化(採用オペレーションAIの活用)の2系統がある
  • ATSは記録、実務はAIエージェントという役割分担が、RPOを縮小したあとの受け皿になりうる

契約更新のタイミングが近い企業は、まず対処①の契約の再定義から着手するとよい。一方、RPO費用の負担が大きい、あるいはオペレーションの逼迫が強い企業は、対処②〜④の段階的な内製化を検討する価値がある。

よくある質問

Q. RPOの委託先を変更すれば、ノウハウが残らない問題は解決しますか?

委託先を変えるだけでは、委託範囲とKPIの明文化、採用データ・改善履歴を自社で管理できる体制がなければ同じ問題が再発しやすい。実際、株式会社NTTデータ・スマートソーシングの事例では、一度RPO導入に失敗した後、再選定を経て稼働とリードタイムを改善したと報告されている[出典: パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社「RPOとは?」]。委託先の変更そのものより、契約条件の見直しが本質的な対処になる。

Q. RPOとAI RPOはどう違いますか?

AI RPO(AI採用代行)とは、スカウト文面作成や応募書類の一次評価、日程調整などの定型工程をAIが担当し、ターゲティングの判断や面接、改善の意思決定は人が担う「Human in the Loop型」の運用代行サービスを指す、という整理がある[出典: HeaR株式会社「AI RPO(AI採用代行)とは?仕組み・従来型との違い・費用と事例」2026年9月公開]。従来のRPOとの違いをより詳しく知りたい場合は、採用AIエージェントとは?仕組みと定義を解説を参照してほしい。


今のRPO契約と実行業務の棚卸しから、自社がどの段階から内製化を始められるか一緒に整理します。フェアパスに相談する

著者:フェアパス編集部

この記事は、AIを使って作成し、編集部が内容を確認しています。