採用コストの一人当たり相場は、2024年実績で中途採用が平均134.6万円、新卒採用が56.8万円である。ただし調査によって算出範囲が異なり、同じ中途採用でも100万円台から30万円台まで数字に幅があるため、相場と自社の数字を比べる前に、何を「コスト」に含めて計算しているかをそろえる必要がある。本記事では新卒・中途・業種・職種別の相場を整理したうえで、AIを使った採用運用で生じる新しいコスト項目と、相場比較のあとに検討すべき投資判断の進め方を解説する。

採用コスト一人当たりの相場はいくらか(新卒・中途別の最新数値)

2024年実績で、中途採用の一人当たりコストは平均134.6万円、新卒採用は平均56.8万円である。新卒は2023年度の45.0万円から11.8万円増加しており、いずれも増加傾向にある。

項目 金額 備考
中途採用(2024年度) 134.6万円 -
新卒採用(2024年度) 56.8万円 2023年度は45.0万円(+11.8万円)

[出典: マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」、bsearch.co.jp「一人当たりの採用コスト(採用単価)相場【2026年版】」2026年掲載]

一方、就職みらい研究所「就職白書2020」が示す2019年度実績では、新卒93.6万円・中途103.3万円となっている。中途は103.3万円(2019年度)→134.6万円(2024年度)と、年を追うごとに上昇している傾向が見える。

[出典: 就職みらい研究所「就職白書2020」2020年2月26日公開、リクルートエージェント公式サイトによる引用]

ただし新卒については、2019年度の93.6万円に対して2024年度は56.8万円と、単純に数字だけを並べると下がって見える。これは物価や採用難易度が緩和したためではなく、調査ごとに「採用コスト」として数えている範囲(算出範囲)が異なるためだと考えられる。この点は次のセクションで詳しく説明する。

同じ『相場』でも数字が2倍近く違うのはなぜか

一人当たり採用コストの数字に幅が出る主な理由は、「内部コストを含むか」「求人広告費などの外部コストだけを数えるか」という算出範囲の違いにある。同じ中途採用でも、就職白書2020の103.3万円に対し、求人広告費のみを算出範囲とした別の調査では31.2万円と、3倍以上の差が出ている。

[出典: 「【2026年版】採用コストが高い5つの原因と削減策|相場から見直しポイントまで」2026年掲載、就職白書2020・マイナビ調査を引用]

この差が生まれる背景には、採用担当者の人件費のような内部コストが見落とされやすいという構造がある。多くの企業は求人広告費や人材紹介手数料といった外部コストだけを予算として管理しており、採用担当者が日程調整や候補者対応に費やす時間(内部コスト)は、そもそもコストとして数えられていないことが多い。

[出典: CASTER BIZ recruiting「採用コストを最適化する方法は?見えない工数負荷を解消する最適化ガイド」]

そのため、自社の採用コストを相場と比べる前に、まず自社がどこまでを「採用コスト」に含めているかを定義する必要がある。可視化の具体的な手順としては、外部コストと内部コストを分けたうえで、募集ポジションごとに採用手法・利用サービス・コスト・1人当たりの採用単価を表にまとめて俯瞰する方法がある。

[出典: doda(パーソルキャリア)採用ガイド「採用コスト(費用)の平均は?内訳や1人当たりの金額・計算方法を解説」]

自社の採用コストを算出範囲をそろえて可視化する具体的な手順は、採用コスト削減の進め方|可視化から段階移行までで解説している。

業種・企業規模・職種で見る一人当たり採用コストの目安

採用コストは業種・企業規模・職種によって数十万円単位の差があり、全体平均の数字だけで自社の高低を判断するのは適切ではない。業種×企業規模の組み合わせで見ると、中小企業の中途採用が大企業を上回るケースもある。

区分 新卒(大企業) 新卒(中小企業) 中途(大企業) 中途(中小企業)
製造業 102.9万円 87.1万円 72.6万円 132万円
サービス業 95.8万円 84.9万円 106万円 46万円

[出典: 採用コストの相場を解説する業界メディア記事、就職みらい研究所「就職白書2020」のデータを引用、2019年度実績]

新卒採用については、上場・非上場でも1人当たりコストに差がある。マイナビ「2024年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」によれば、上場企業は採用総額917.6万円・1人あたり49.0万円、非上場企業は総額233.1万円・1人あたり57.5万円で、非上場企業のほうが1人あたりコストは高い。

[出典: 株式会社キャリアマート「採用コストの平均、新卒・中途一人当たりの単価は?8つの費用削減例」、マイナビ調査を引用]

職種別では、一般的な目安として以下のレンジが示されている。

職種 1人あたり採用コストの目安
エンジニア 80万〜200万円
デザイナー 70万〜150万円
営業 60万〜120万円
事務 40万〜80万円

[出典: 採用コストの相場を解説するナレッジ記事、採用手法・経験条件・地域・企業規模で変動すると明記]

この職種別の目安は、特定の統計調査に基づく確定値ではなく、業界で一般的に語られる目安である点に注意が必要だ。自社のポジションに近い業種・規模・職種の数字と比較し、全体平均だけで判断しないことが重要になる。

相場の数字が見ていない『第3のコスト』:AI時代の採用コストの数え方

従来の相場調査が数えているのは、人件費と外注費(求人広告・人材紹介など)までであり、AIを使った採用運用で生じる「AIトークンコスト」という変動費は反映されていない。フェアパス(bgrass株式会社)が示すモデルケースでは、この第3の費用を加えて配分し直すことで、月次の採用コストが約105万円から約65万円へ再配分される試算が示されている。

費目 従来モデル AI活用後の試算モデル
人件費 月50万円 月40万円
外注費(RPOなど) 月40万円 月5万円
AI・ツール費/AIトークンコスト 月15万円 月20万円
合計 月105万円 月65万円

[出典: フェアパス(bgrass株式会社)WP17「AI駆動採用」実装ロードマップ、2026年7月7日公開。自社試算によるモデルケースであり、特定企業の実績ではない]

このモデルケースが示すように、AIを使った採用運用では「外注費が減り、AIトークンコストという変動費が増える」という配分の変化が起きる。人件費・外注費の2項目だけで相場と比較すると、この変化を見落としてしまう。こうした再配分の考え方と、外注していたRPO費用をどう置き換えていくかの具体的な道筋は、AI RPOのその先へ。1求人から始める採用組織全体の効率化とコスト削減のロードマップで詳しく扱っている。

また、採用チームの速さの差は担当者の人数ではなく、一人当たりの実行工数をどれだけ削減できているかで決まるというのがフェアパスの見解である。相場比較で「人数が足りているか」を見るだけでなく、一人当たりの実行工数という観点を加えることが、コストの再配分を考えるうえでの前提になる。

[出典: フェアパス(bgrass株式会社)「中小企業 採用格差 逆転設計図」2026年6月発行、自社の見解]

相場より高いと分かったとき、何に投資するかの選択肢を比較する

自社の採用コストが相場より高いと分かったとき、コストを下げる打ち手はATS・生成AI・RPO・採用AIエージェントの4つに大別できる。それぞれ「文章作成の工数削減」「実行まで代行できるか」「自社へのノウハウ蓄積」の3観点で向き不向きが分かれる。

比較軸 ATS 生成AI RPO 採用AIエージェント
文章作成の工数削減 △ ◎ △ ◎
実行まで行えるか ✗ ✗ ◎(人が実行) ◎(AIが実行)
自社へのノウハウ蓄積 △ ✗ ✗ ◎

[出典: フェアパス(bgrass株式会社)「一言で採用が前に進む フェアパスAI 実態レポート」図表02、2026年6月発行。評価記号はbgrassの定性的な評価]

この表からわかるのは、ATSや生成AIは文章作成の工数は減らせても、実行(日程調整・連絡・更新など)まで代行できない点である。RPOは実行まで代行できるが人の手で行うため、自社にノウハウが残りにくい。採用AIエージェントについては、採用AIエージェントとは?仕組みと定義を解説で仕組みを整理している。

もう一つ注意したいのは、特化型AI(Point Solutions)を個別に導入しても、工程の「あいだ」は人に残りやすいという点である。たとえばAI面接を導入しても、日程調整・面接官アサイン・評価の回収・記録といった工程は人の手に残る。特化型AIは工程の「中」を速くするが、工程と工程の「あいだ」の調整までは代替しない。

[出典: フェアパス(bgrass株式会社)WP20「AIネイティブ採用組織への移行ガイド」2026年7月14日公開、自社の分析]

自社が「点のAI導入」にとどまっていないかは、以下の7項目でセルフチェックできる。

  • 特化型AIを1つ以上導入している
  • AIの前後に手作業が残っている
  • 候補者情報が複数ツールに分散している
  • 確認・転記・催促が減っていない
  • ツール追加で管理画面が増えた
  • 人事が候補者対応よりオペレーションに時間を使っている
  • AIを個別ツールの導入として捉えている

このうち3つ以上当てはまる場合、次に必要なのは新しい特化型AIを追加することではなく、採用実務全体を統合する採用オペレーションAIである、というのがbgrassの診断フレームワークの考え方である。

[出典: フェアパス(bgrass株式会社)WP20「AIネイティブ採用組織への移行ガイド」2026年7月14日公開、自社の診断フレームワーク]

ATS・RPO・採用AIエージェントの価格帯はどのくらいか

前セクションで挙げた4つの選択肢のうち、ATS・RPO・採用AIエージェントについては、具体的な価格帯が公開されている。ATSは月額2.5万円前後、RPOは月額10万〜20万円が中心価格帯、採用AIエージェントはサービスによって月額8万〜16万円程度という例がある。

サービス種別 価格帯の目安 出典
ATS(主要26サービス) 月額25,000円 BOXIL Magazine「採用管理システムの費用相場は月額25,000円」
RPO(月額固定、全般) 月額10万〜20万円が中心(n=342、2025年11〜12月実施調査) BOXIL Magazine「【342人調査】採用代行(RPO)の費用相場」
RPO(業務別、doda) 新卒10万〜70万円/中途20万〜80万円/新卒スカウト代行10万〜50万円/中途スカウト代行10万〜60万円/面接代行15万〜50万円/成果報酬型は採用1名あたり60万〜120万円 doda「採用代行(RPO)の費用相場はいくら?」
採用AIエージェント(Tasonal) Free:月10件まで/Starter:月8万円(月30件の日程調整・書類選考、スカウト月200通)/Basic:月16万円(月100件、スカウト月500通) Tasonal公式サイト、2026年10月時点

Tasonalの価格は1社の公式表示価格であり、採用AIエージェント全体の相場そのものではなく、価格帯の一例として参照してほしい。為替や値上げによって変動する可能性もある。サービスごとの比較軸や選び方は、採用AIエージェントの選び方|比較軸と費用感で整理している。

自社の採用コストを相場と比べて、次に何をするか

相場と比較して自社のコストが高い・低いと分かったら、次の4ステップで打ち手を検討するのが現実的な進め方である。

  1. 自社の採用コストを3分解で出す:人件費・外注費・AIコスト(AIトークンコストを使っている場合)に分けて、採用人数1人あたりの金額を算出する。外部コストと内部コストを分けて募集ポジションごとに表へまとめることで可視化できる。[出典: doda採用ガイド「採用コスト(費用)の平均は?内訳や1人当たりの金額・計算方法を解説」]
  2. 業種・企業規模・職種の目安と比較する:自社に近い区分の数字と照らし合わせ、全体平均だけで判断しない。
  3. 「点のAI導入」チェックリストで自社の状態を確認する:7項目のうち3つ以上当てはまるかどうかで、個別ツールの追加で足りるのか、工程全体を統合する必要があるのかを判断する。
  4. 必要な打ち手を選ぶ:ATS・RPO・採用AIエージェントのうち、実行まで代行したいのか、自社にノウハウを残したいのかという目的に応じて選択する。

自社の採用コストを算出範囲をそろえて可視化する具体的な手順は、採用コスト削減の進め方|可視化から段階移行までで解説している。

よくある質問

人材紹介会社(エージェント)経由の採用では一人当たりコストはいくらか?

厚生労働省委託調査によると、民間職業紹介事業者を利用した場合の採用コストは正社員平均85.1万円、非正規社員平均19.2万円であり、両者の差は65.9万円に上る。

[出典: 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「令和3年度厚生労働省委託調査 採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書」、doda人事ジャーナル経由]

一人当たり採用コストはどうやって計算すればよいか?

外部コスト(求人広告費・人材紹介手数料など)と内部コスト(採用担当者の人件費など)を合算し、採用人数で割ることで算出する。具体的な可視化の手順は、採用コスト削減の進め方|可視化から段階移行までを参照してほしい。

[出典: doda(パーソルキャリア)採用ガイド「採用コスト(費用)の平均は?内訳や1人当たりの金額・計算方法を解説」]

まとめ

  • 中途134.6万円・新卒56.8万円(2024年実績)が目安だが、算出範囲によって数字は大きく変わる
  • 業種・職種・企業規模(上場/非上場)で数十万円単位の差がある
  • AI活用時代は人件費・外注費に加え「AIトークンコスト」を含めた3分解で見る必要がある
  • 相場比較の次は、ATS・生成AI・RPO・採用AIエージェントのどれに投資するかの選択になる

自社の採用コストを人件費・外注費・AIコストの3分解で可視化し、相場の中での立ち位置とAIエージェント導入の要否を一緒に診断します。フェアパスに相談する

著者:フェアパス編集部

この記事は、AIを使って作成し、編集部が内容を確認しています。