AI面接を導入した後に実際に困るのは、AIの判定精度そのものよりも「日程調整・評価回収・リマインドといった工程のあいだが人の作業として残り、工数が減らないこと」「候補者の離脱・不満」「候補者データの管理負担」の3点であることが多い。本記事では、なぜこの3つが起きるのかと、起きた場合にどう対処できるかを整理する。

AI面接を導入した企業が実際に直面する困りごとは何か

AI面接のデメリットは、精度の問題よりも「導入後も人の作業が減らないこと」「候補者の離脱・不満」「候補者データの管理負担」の3つに集約される。実際、従業員500名以上の企業の人事担当者・人事責任者213名を対象にした調査では、日本企業の58.3%が採用活動にAIを導入していると回答した一方で、導入後も工数が「変わらない・増加した」とする回答が53.3%に上り、AIが十分に機能していない実態が示されている[出典: TalentX株式会社「採用活動におけるAI活用に関する実態調査2026」2026年6月19日公開]。

導入率が6割近くに達しているにもかかわらず、半数以上の企業で工数が減っていないという結果は、AI面接そのものの性能が低いという単純な話ではない。次の見出し以降で、工数が減らない理由、候補者が不満を持つ理由、データ管理面の課題という順に、それぞれ分けて見ていく。

AI面接を入れても日程調整・評価回収などの“あいだ”の業務が人に残るのはなぜか

AI面接は面接そのものの実施を速くするが、日程調整・面接官アサイン・評価の回収・リマインド・引き継ぎといった工程と工程の「あいだ」の業務は従来どおり人が担う。これはフェアパス(bgrass株式会社)が採用工程を整理した際の見解で、AI面接のような特化型AI(Point Solutions)は工程の「中」を速くする一方、工程の「あいだ」は人に残り続けるという構造上の特徴がある。AI面接を導入しても、日程調整・面接官アサイン・評価の回収・記録そのものは人の作業として残るのが典型例である。

先に紹介したTalentXの調査で53.3%の企業が「工数が変わらない・増加した」と回答していたのも、この構造と整合する。AI面接が面接の実施部分だけを速くしても、候補者とのやり取り・社内調整・記録といった「あいだ」の作業量自体は変わらないため、体感の工数削減につながりにくい。この特化型AIの限界については、なぜ特化型AIだけでは楽にならないのかでも整理している。

候補者がAI面接に不満を持ち離脱するのはなぜ起きるのか

AI面接の実施を事前に知らされないまま受けた候補者の不満は大きく、一部は選考を途中離脱したり、AI面接を課す企業を敬遠する動きが海外で報告されている。Greenhouse社の「2026 Candidate AI Interview Report」によれば、3割の候補者がAI面接が含まれると知って選考を辞退した経験があり、英国の求職者の47%がAIによる面接を受けたと回答したうち、82%は事前に知らされていなかった[出典: People Management(CIPD)「Third of candidates drop out of hiring process because of AI-led interviews, survey finds」2026年4月30日公開]。

米国でも同様の傾向が報じられている。AI面接に不満を抱いた求職者の中には選考を途中離脱したり、AI面接を課す企業をブラックリスト化して応募対象から外す動きが出ており、ACLU(米国自由人権協会)は障害・人種などの特性を理由に不利な評価を受けるリスクを指摘している。HireVueやWorkdayのAI採用ツールに対しては年齢・人種・障害を理由とした差別があるとする申し立てが提起されているが、両社はこの主張を否定している[出典: CNBC「Fed up with AI interviews, some job seekers are dropping out as candidates and blacklisting companies from consideration」2026年9月15日公開]。

一方で、不満の中身をより細かく見ると、AIの応答そのものへの不満ばかりではないことも分かる。AI面接ベンダーのClasset社が自社プラットフォームの10,167件の評価データを分析したところ、コメント付きネガティブフィードバックの54%は通話インフラの不具合(エコーや音声トラブルが27.5%、通話の切断・クラッシュが19%、端末や回線側の問題が8%)が原因であり、AIの応答や振る舞いそのものへの不満は全体のわずか約2.5%(ネガティブ内訳の23%)にとどまったと報告している[出典: Classet「AI Interview Negative Reviews: What the Data Shows」]。この数値はClasset社自身のデータであり第三者検証は入っていないが、「候補者の不満=AIの性能不足」と単純に結びつけず、事前説明の有無や通信環境の整備といった運用面の要因を切り分けて考える必要があることを示している。

候補者データの管理・規約面で導入後に何が問題になりやすいか

AI面接・AIスカウトでは、候補者データの保存場所や学習利用の有無、個人情報保護法改正への対応、媒体規約でのAI/RPAツール利用制限といった点が導入後に課題として表面化しやすい。具体的には次のような点が指摘されている。

  • 候補者データの保存場所・暗号化の有無の確認
  • 入力データがAIの学習に利用されるかどうかの確認
  • 2026年の個人情報保護法改正への対応
  • 一部のスカウト媒体がAIツール・RPAツールの利用を利用規約で禁止・制限している場合がある点(どの媒体がどのような規約を定めているかは個別に確認が必要)

[出典: JAPAN AIラボ「AIスカウトとは?種類・メリット・注意点・おすすめサービス比較と選び方」2026年8月31日公開]

また、規制の枠組みは国・地域によって異なる。日本は個人情報保護法・職業安定法・均等法の枠組みで顔・音声データ取得の適正や性別・年齢差別禁止を求めている。EUはAI法(EU AI Act、2024年施行開始)・GDPRのもとで採用AIが「高リスクAI」に分類される可能性があり、透明性・人間によるオーバーサイトが義務化される。米国はニューヨーク市のLocal Law 144(2023年)やイリノイ州のAI Video Interview Actにより、採用AI利用前の候補者通知義務や年次バイアス監査の義務化が定められている[出典: crystal-method.com「AI面接のバイアス対策|公平性・法的/個人情報の注意点【2026】」]。日本企業であっても海外拠点や外国籍候補者の選考でAI面接・AIスカウトを使う場合は、これらの差を踏まえた確認が必要になる。AIスカウトを使う場合の注意点はAIスカウトのデメリットと導入前の注意点でも扱っている。

なぜ“あいだ”の業務や候補者対応は導入検討時に見落とされやすいのか

AI面接の導入検討は「面接をどう速くするか」というツール選定に焦点が当たりやすく、運用体制の構築や候補者への事前説明といった準備段階が後回しになりやすい。AI面接の導入手順として、(1)導入目的・範囲の明確化、(2)運用体制の構築、(3)サービス選定とテスト運用、(4)本番実施と結果活用、(5)効果検証と改善、という5ステップが紹介されており、準備段階では採用選考フロー全体の確認、人材要件の明確化、セキュリティ対策の確認、応募者への事前説明が重要なポイントとして挙げられている[出典: PeopleX「AI面接とは?メリット/デメリットや導入時の注意点・ポイントを詳しく解説」2025年5月13日公開]。

この5ステップのうち、検討段階で比重が置かれやすいのは(3)のサービス選定であり、これはAIが工程の「中」をどう速くするかという話にあたる。一方、(2)の運用体制の構築や、準備段階での「応募者への事前説明」は、工程の「あいだ」の設計に関わる部分であり、ここが曖昧なまま導入すると、先に挙げた「工数が減らない」「候補者が不満を持つ」という困りごとにつながりやすい。導入前にどの順序で何を準備すべきかはAI面接導入の流れと準備のポイントで詳しく扱っている。

導入後に困らないための対処の選択肢と、それぞれが向く条件

対処の方向性は大きく「社内で“あいだ”の運用体制を整備する」か「“あいだ”の工程も含めて外部に委託する」かの2択で、採用人数・社内リソースの状況で向き不向きが分かれる。特化型AIが工程の「中」しか速くしない以上、「あいだ」の業務は誰か(社内の人、または外部委託先)が担う前提で設計する必要がある。

観点 選択肢A:自社で運用体制を整備する 選択肢B:“あいだ”の工程も含めて外部に委託する
主な作業 日程調整・評価回収・リマインドのフローと担当者を社内で再設計する 定型工程(文面作成・日程調整・一次評価など)を外部に任せ、判断(面接・最終決定)は自社に残す
向く条件 採用人数が少なく、社内で運用ルールを回せる人員がいる場合 採用人数が多く、社内の人員だけでは「あいだ」の業務を回しきれない場合
メリット 自社に採用ノウハウが蓄積しやすい 工程ごとのAI・人の分担を維持したまま運用自体を任せられる
留意点 設計・運用の負荷が社内に残る 委託範囲や引き継ぎ方法を事前に明文化しておく必要がある

選択肢Bのような「定型工程はAI、判断は人」という分担を維持したまま運用自体を外部に任せる形態は、AI RPO(AI採用代行)と呼ばれる。AI RPOとは、スカウト文面作成や応募書類の一次評価などの定型工程をAIが担い、面接・最終判断は人が担う「Human in the Loop型」の運用形態を指す[出典: HeaR株式会社「AI RPO(AI採用代行)とは?仕組み・従来型との違い・費用と事例」2026年9月8日公開]。同社が公開しているスカウト文面作成の運用事例では、AIが個別にスカウト文面を生成し人が確認・調整する体制に切り替えたことで、週5〜8時間かかっていた文面作成工数が週1〜2時間に削減され、スカウト返信率が1.8倍になったと報告されている[出典: HeaR株式会社「AI RPO(AI採用代行)とは?仕組み・従来型との違い・費用と事例」2026年9月1日公開]。この数値は自社事例1件分であり、対象企業数や比較条件の詳細は公開されていない点、またスカウト文面作成という特定の工程についての事例である点には留意が必要だが、「あいだ」の工程ごと委託するという選択肢の具体像として参考になる。

なお、RPO(採用代行)自体の一般的なメリット・デメリット(費用、ノウハウの蓄積しにくさ、情報共有の負担など)はRPO(採用代行)のメリット・デメリットとはで整理している。

まとめ

  • AI面接のデメリットは、精度の問題より「工程の“あいだ”が人に残る」ことが中心
  • 候補者の離脱・不満は、AI自体の性能よりも事前説明の不足や通話インフラの不具合が原因になっているケースが多い
  • 候補者データの保存・学習利用・規約抵触リスクは導入後に表面化しやすい
  • 対処は「自社で運用体制を整備する」か「“あいだ”の工程ごと外部に任せる」かの2択で、採用規模とリソースで選ぶ

よくある質問

AI面接の評価の精度やバイアスの問題も気になるが、本記事の内容とは別物か 精度・バイアスは選考の「判断の質」に関わる別軸の論点であり、本記事が扱う「導入後の運用面での困りごと」とは分けて整理したほうが対処しやすい。精度・バイアスの原因と対処法はAI面接の精度・バイアス問題の原因と対処法で詳しく解説している。

AI面接の導入費用はどれくらいかかるか 料金体系や相場感は本記事では扱っていない。比較の軸と相場感はAI面接の導入費用はいくら?比較の軸と相場感でまとめている。

自社の採用フローのどこが“あいだ”に当たるのか、まずは工程を棚卸しして整理しませんか。AIで速くなる工程と人に残り続ける工程を切り分け、どこから着手すべきかを具体的に相談したい方は、フェアパスのサービス紹介をご覧ください。

著者:フェアパス編集部

この記事は、AIを使って作成し、編集部が内容を確認しています。