AI面接とは、音声・動画によるオンライン面接にAIが質問応答や一次評価、記録を担わせるサービスの総称である。本記事では国内外の公開事例に加え、フェアパス(bgrass株式会社)が自社で観測した導入後の変化もあわせて整理し、事例を読むときに揃えておくべき前提条件と、自社の検討に落とし込むための進め方までをまとめる。
AI面接の導入事例に共通する構造
AI面接の導入事例が示すのは、AIが質問応答や一次評価など工程の「中」を速くする一方、日程調整・面接官アサイン・評価の回収や記録といった工程と工程の「あいだ」は人に残るという共通構造である。
bgrass株式会社は、特化型AI(Point Solutions)は工程の「中」を速くするが、転記・日程調整・評価回収・リマインド・引き継ぎといった工程の「あいだ」は人に残ると整理している。AI面接を導入しても、日程調整・面接官アサイン・評価の回収・記録は人に残る、という指摘も同じ整理によるものだ(出典: bgrass株式会社「AIネイティブ採用組織への移行ガイド」)。この構造を踏まえたうえで、国内外の事例を見ていきたい。この整理の背景はなぜ、点のAI導入は現場に定着しないのかでも扱っている。
国内事例:SHaiN導入企業3社の利用シーンと公開されている成果
対話型AI面接サービス「SHaiN」(株式会社タレントアンドアセスメント)は2025年2月時点で導入企業累計700社を突破し、受検者数はのべ95,000名、資質ごとの分析件数は約540,000件に達したと発表されている。ただしこの数値は新卒・中途・アルバイト採用だけでなく、昇進試験や社内アセスメントなど複数用途の合計値を含む点に注意が必要だ(出典: 株式会社タレントアンドアセスメント プレスリリース、2025年2月26日時点)。
公式サイトで公開されている導入事例のうち、業種・規模・利用シーンが異なる3社を見てみる。
株式会社YMFGキャピタル(投資・ファンド運営業、従業員10〜99名)
経営者候補登用の場面でSHaiNを活用し、「業務負荷の低減」が成果として挙げられている。
株式会社フルスピード(インターネット広告業、従業員100〜999名)
新卒採用でSHaiNを活用し、「対人面接の品質の向上」が成果として挙げられている。
株式会社北國フィナンシャルホールディングス(銀行業、従業員1,000名以上)
新卒採用でSHaiNを活用し、「業務負荷の低減」と「対人面接の品質の向上」の両方が成果として挙げられている。
(出典: SHaiN公式サイト 導入事例一覧)
いずれもSHaiN提供元が取材・編集した内容であり、成果指標の算出方法や第三者による検証の有無は記事からは確認できない。3社が同じ課題を抱えていたかどうかは公開情報からは判断できないため、ここでは「どの企業規模・利用シーンで、どんな成果ラベルが公開されているか」という事実のみを個別事例として読み、業界平均として扱わないことが前提になる。
海外事例:LinkedInのAI機能がカバーする範囲
LinkedInは採用業務向けに複数のAI機能を提供しており、「Hiring Assistant」と「Hiring Pro」は別の製品である。Hiring Assistantは候補者の発掘や採用担当者への相談対応などのタスクを自律的に実行し、採用業務の最大8割を自動化するとされている(出典: リクルートワークス研究所「LinkedInのAIエージェント『Hiring Assistant』、採用業務の最大8割を自動化」)。
一方、採用を行う中小企業の66%が「昨年と比べて適格な人材を見つけるのがより難しくなった」と回答し、AI採用ツール「LinkedIn Hiring Pro」の利用企業では58%以上が導入後最初の1週間で面接する候補者を発見できたと報告されているのは、Hiring Proの利用企業データである(出典: Forbes JAPAN「AI採用ツールで週6時間削減、中小企業が押さえるべきリスクと活用法」、2026年2月5日公開)。この調査はLinkedIn自身が主に米国の自社顧客を対象に実施したものをForbes JAPANが報道したもので、母数や算出期間の詳細は記事内に明記されていない。日本国内の中小企業にそのまま当てはまるかは未検証であり、参考情報として読む必要がある。
フェアパス(bgrass株式会社)は、採用担当の仕事を8つのAIアシスタント(AI日程調整アシスタント/AI面接議事録アシスタント/AI書類対応アシスタント/AI候補者対応アシスタント/AI人材紹介会社アシスタント/AIスカウトリクルーター/AI求人アシスタント/採用改善AIアナリスト)に分解するフレームワークを提示している。この整理に当てはめると、LinkedInのAI機能は「AIスカウトリクルーター」や「AI求人アシスタント」に近く、SHaiNのような面接特化のAIとは担う工程が異なる。1つのサービスが全工程をカバーしているわけではなく、どの工程を任せているサービスなのかを見極める必要がある。
フェアパス(bgrass)が自社で観測した、面接の「あいだ」を自動化した事例
AI面接を導入しても日程調整や評価の回収といった「あいだ」の業務が残り続けることに対し、フェアパスはこの部分を自動化する取り組みを自社顧客で行っている。
フェアパス導入事例の一つであるSPEED EFFECT社では、採用オペレーションにかかる時間が1日2〜2.5時間からおよそ20分に短縮し、中途採用の応募数は月50件から月150件に増えたと、公式LP上のインタビューで報告されている(導入前との比較、インタビュー時点)。ただし、導入初期にはbgrassが一部オペレーションを伴走支援しており、応募数の増加は空いた時間を使って担当者が母集団形成に取り組んだ結果も含むため、フェアパス単独の効果と言い切ることはできない。
また、フェアパスの導入トライアル先の現場レポートでは、完全自動化が運用に乗った企業で次の3つの変化が報告されている(企業数非開示の定性観察)。
- 管理画面を見なくなる
- 連絡漏れ・更新漏れがなくなる
- 「催促を考えるストレス」がなくなる
フェアパスへの導入相談は、「人事+フェアパス」「人事+フェアパス+既存ATS」「その他」の3パターンに大別され、このうち既存ATSをデータ記録用として残しつつ実行部分だけをAI化する「人事+フェアパス+既存ATS」の組み合わせが相談全体の半数以上を占めるという(件数・期間は非開示)。AI面接のような特化型AIを単体で導入した後、残った「あいだ」の業務をどう自動化するかという相談が多いことがうかがえる。面接前後を含む採用オペレーション全体の自動化についてはオペレーション担当を完全にAIエージェントに置き換えられる時代へで詳しく扱っている。
導入までの進め方と、つまずきやすいポイント
AI面接の導入は、一般的に準備→選定→構築→運用の4フェーズ・8ステップで進めるのが目安とされる。サービス利用自体の開始は数日〜数週間で可能だが、質問設計・評価基準の策定・法務対応・社内教育まで含めたプロジェクト全体では1ヶ月〜3ヶ月程度を見ておく必要がある。これはAI面接ツール全般を想定した一般的な目安であり、特定企業の実測データに基づくものではない(出典: Our AI面接(JetB株式会社)「AI面接の導入の流れを解説」、2026年9月8日公開)。
準備段階では、採用選考フロー全体の確認・人材要件の明確化・セキュリティ対策の確認・応募者への事前説明が重要なポイントとして挙げられている(出典: PeopleX(株式会社PeopleX)「AI面接とは?メリット/デメリットや導入時の注意点・ポイントを詳しく解説」、2025年5月13日公開)。導入までの具体的な手順はAI面接導入の流れと準備のポイントで詳しく整理している。
一方、bgrass株式会社が整理する「導入が進まない企業」の失敗パターンには、AIと人の役割分担を曖昧にしたまま導入してしまうケース(個人利用のAIをそのまま業務に組み込み、担当者ごとの裏ルールが言語化されずに残る)や、AIが存在する前提で組まれていない既存の業務フローにAIをただ乗せてしまうケースが挙げられている。AI面接でも、どこまでをAIの判断に任せ、どこから人が引き継ぐかを事前に言語化しておかないと、同様のつまずきが起きやすい。この失敗パターンは採用AI導入の失敗パターンと、避けるための進め方で詳しく整理している。
また、性別・年齢・国籍といった属性を見送り判断の材料としてAIに委ねることには明確なリスクがあり、属性に基づく判断は常に人が行うべき領域として切り分けるべきだという指摘もある(bgrass株式会社の見解)。AI面接の評価基準を設計する際は、この線引きを最初に決めておく必要がある。
料金の前提をそろえてから比較する
AI面接サービスの料金モデルは、従量課金制と月額固定制に大別され、単価だけで比較すると自社の想定件数に当てはめたときの実際のコストを見誤りやすい。たとえばSHaiNは、派遣・パート向けで1件1,000円〜、新卒・中途向けで1件5,000円〜という都度課金制を採用している(出典: achievehr.jp「AI面接の費用は?おすすめ比較17選・料金体系・費用相場を解説」)。比較記事では、単価だけでなく想定応募数・採用人数に基づく年間費用や、超過・保管期間・API利用など追加費用が発生する条件まで確認すべきだと指摘されている(出典: BOXIL Magazine「AI面接サービスおすすめ比較17選 料金・選び方・導入メリット」、2026年1月26日公開)。各社の料金体系を横並びで比較する軸の立て方は、採用AIエージェントの選び方|比較軸と費用感で詳しく整理している。
事例を自社の導入検討に落とし込む前に確認すべきこと
導入事例の効果数値をそのまま期待値にするのではなく、自社のどの工程が「中」でどこが「あいだ」として人に残るのかを先に棚卸しすることが、事例を活かす第一歩である。
本記事で扱った国内外の事例は、企業規模も採用種別も異なり、公開されている効果数値もそれぞれの条件下での個別実績にすぎない。SHaiNの3社の事例も、LinkedInのAI機能の自動化率も、フェアパス自身の事例も、すべて「自社の採用フローに当てはめたときにどこがAIに任せられ、どこが人に残るか」を判断するための材料であって、そのまま再現される保証ではない。企業規模や業種が近い事例をさらに知りたい場合は、採用AI中小企業導入事例|国内外の実例と効果もあわせて参考にできる。
まとめ
- 国内外のAI面接事例は、AIが工程の「中」(質問応答・一次評価)を速くし、日程調整や評価の引き継ぎなど「あいだ」は人に残るという共通構造を持つ
- SHaiN導入3社の事例は企業規模・利用シーンが異なり、公開されている成果もラベルにとどまるため、業界平均として扱わない
- LinkedInの「Hiring Assistant」と「Hiring Pro」は別製品であり、66%・58%という数値はHiring Proの利用企業データである
- フェアパス自身の事例では、面接前後の「あいだ」の業務を自動化したことで、オペレーション時間の短縮や管理画面を見なくなるといった変化が報告されている(ともに個別企業・企業数非開示の観察)
- 導入は4フェーズ・8ステップが目安だが、役割分担や属性判断の線引きを事前に言語化しておかないと同じ失敗パターンに陥りやすい
よくある質問
AI面接を導入しても人に残る業務は何か 日程調整、面接官のアサイン、評価の回収と記録、候補者や面接官への連絡といった工程と工程の「あいだ」の業務は、AI面接を導入しても人に残りやすいとされている。フェアパス自身の観察でも、完全自動化が運用に乗った企業で「管理画面を見なくなる」「連絡漏れ・更新漏れがなくなる」といった変化が報告されており、この「あいだ」部分をどう設計するかが導入効果を左右する。
海外のAI面接・AI採用事例は日本企業にそのまま当てはまるか LinkedInのHiring Pro利用企業の数値は主に海外(米国中心)の企業を対象としたもので、日本の新卒一括採用など独自の採用慣行への適用可能性は検証されていない。数値の一次ソースもLinkedIn自身であり、効果を誇張している可能性がある点に留意し、参考情報として扱うのが望ましい。
AI面接の評価基準に属性情報を使ってもよいか 性別・年齢・国籍といった属性を見送り判断の材料としてAIに委ねることには明確なリスクがあり、属性に基づく判断は常に人が行うべき領域として切り分けるべきだとされている。AI面接の評価基準を設計する段階で、この線引きを最初に決めておく必要がある。
自社の採用フローのどこにAIを任せられるか、現状の工程を棚卸しして診断したい場合は、フェアパスから相談できる。自社の採用工程のうち、どこが「あいだ」の業務として人手に残っているかを洗い出し、委任範囲を段階的に広げる進め方を知ることが次のステップになる。
著者:フェアパス編集部 この記事は、AIを使って作成し、編集部が内容を確認しています。