AI面接ができるのは、質問の進行・回答の記録・一次評価のスコアリングまでである。最終的な合否判断や、バイアスの排除、候補者の納得感の醸成は、現状のAI面接では人が担う前提で設計されている。本記事では、この線引きを「できること」「できないこと」の両面から整理する。
AI面接とは何か|bgrassの3区分で見る「できること」の範囲
AI面接ができることは、採用業務の自動化レベルを「RPA/生成AI/AIエージェント」の3区分で整理すると、主に生成AI型(分析・評価案の出力まで)にとどまる。AIエージェント型として自律的に合否を決定し実行まで行う運用は、現状のAI面接サービスでは一般的ではない。
フェアパスでは、採用業務の効率化を次の3つに分けて整理している。
| 区分 | 何をするか | 例外対応 | 実行の有無 |
|---|---|---|---|
| RPA | 決められた操作の自動化(進行の分岐、記録の転記など) | できない | 実行はする |
| 生成AI | 回答の文字起こし・要約・一次評価のスコアリングなど、分析結果の出力まで | できない | 実行しない(最終判断は人が行う) |
| AIエージェント | 自分で判断し、実行まで行う | できる | 実行する |
録画型・対話型を問わず、現状の多くのAI面接ツールが実際にやっているのは、質問を提示し、回答を記録・要約し、評価の目安を出力するところまでである。合否の決定や例外的な対応をAI自身が完結させる設計は、まだ主流ではない。
また、「AI面接」という言葉が指す範囲には料金体系の面でも幅がある。IT製品レビューサイトITreviewの価格比較によると、録画型の「HARUTAKA」は問い合わせ制で価格非公開である一方、「Interview Cloud」は1面接あたり980円の従量課金、「Our AI面接」はスタンダードプラン最低75,000円(契約期間1年間)となっている[出典: ITreview「HARUTAKAの価格(料金・費用)」比較ページ]。別の記事では、AI面接サービス全体の費用相場として、従量課金制なら1件あたり1,000円〜10,000円程度、月額固定制なら月額5万円〜20万円程度がレンジとして見られ、録画解析型の「harutaka IA」は初期費用50万円・月額費用5万円〜(要相談)という例が紹介されている[出典: AchieveHR「AI面接の費用は?おすすめ比較17選・料金体系・費用相場を解説」]。ただしこれは録画型を中心とした一部サービスのまとめであり、AI面接市場全体を網羅した統計ではない点に留意したい。
具体例:海外・国内企業はAI面接のどこまでをAIに任せているか
海外・国内の公開事例を横断すると、AIが担っているのは大量応募の一次処理や選考プロセスの統合によるスピードアップまでで、最終的な合否判断や個別の配慮は人が担うという共通点がある。
| 企業・事例 | AIが担った工程 | 人に残った工程 |
|---|---|---|
| Unilever(新卒採用プログラム) | 動画面接による候補者プールの絞り込み | 最終判断、AI評価を受けるかの選択可否 |
| Hilton(予約・顧客対応部門) | 複数段階の選考を単一の動画アセスメントに統合 | 採用可否の最終決定 |
| Compass Group(時給制大量採用) | 会話型AIによる応募導線・面接予約の自動化 | 面接そのもの、採用判断 |
| ソフトバンク(新卒採用) | 動画面接データの自動評価 | 合格基準未満の場合の最終判断 |
Unileverの新卒採用プログラム「Future Leaders」では、約25万件の応募から約800人を採用する選考にHireVueの動画面接を用い、候補者プールを最大80%まで絞り込んだとされる。HireVue側が公開する資料では、このプログラムの18か月間で候補者の面接時間が5万時間超減ったと紹介されている一方、2018年の報道ではUnileverの広報担当者が「年間100万ポンド超のコスト削減」に加えて別の期間感覚でのコメントを残しており、両者で期間の取り方が異なる点には注意が必要である。Unilever広報は、動画面接は新卒採用で使う複数のツールのひとつに過ぎず任意であり、候補者はAIによる評価を受けるかどうかを選択できたとも説明している。ここからAIが担ったのは大量応募の絞り込みであり、候補者がAI評価を受け入れるかどうかの判断と最終的な合否は、仕組みとして人(あるいは候補者自身)の側に残されていたことがわかる。
Hiltonは予約・顧客対応部門の大量採用において、100問を超え1時間以上を要していた複数段階の適性検査を、HireVueの単一の動画アセスメントに統合した。HireVueが公開する事例では、採用までの期間が42日から5日に短縮し、選考の完了率が倍増、面接から採用に至る率が40%改善したとされる。ただし対象はHilton全社ではなく予約・顧客対応部門に限られ、数値はHireVue側が公開した事例によるもので、算出方法や独立検証は示されていない。この事例からAIが担ったのはスクリーニング工程の統合によるスピードアップであり、採用の最終決定そのものは人が担う前提のまま変わっていないことが読み取れる。
Compass Groupは2019年に会話型AIを導入した。米国人事専門団体SHRMの取材に対し、同社のShay Johnson氏(Compass Group USA 戦略的HRパートナーシップ担当バイスプレジデント、前採用責任者)は、導入前は採用サイトへの訪問は多いものの求人検索や応募への転換率が低く、応募時にプロフィール・ユーザー名・パスワードの作成を求める点が候補者の混乱を招いていたと説明している。導入後は、応募完了までの時間が9分超から3分未満に短縮(2024年12月時点)し、求人検索から面接予約までが最短6分、応募完了率が85%に達したという。対象は同社の時給制・大量採用部門(米国内で年間約15万人を採用し、採用担当者は約20人)であり、正社員・専門職の採用に当てはまる数値ではない。この事例でAIが担ったのは応募導線と面接予約という入口部分であり、面接そのものや採用判断はAIの対象になっていない。
ソフトバンク株式会社は新卒採用選考において、株式会社エクサウィザーズと共同開発したAIシステムを2020年から導入し、動画面接のデータをAIが自動評価したうえで、合格基準に満たない場合のみ人事担当者が最終判断を行う仕組みを運用しているという。これは比較系メディアが紹介する一企業の事例であり、公式発表での裏付けは確認できていないが、ここでも「AIが評価の目安を出し、境界線上の判断は人が行う」という役割分担が描かれている。
なお本節では、公開情報の多い大企業・海外事例を中心に取り上げた。
できないこと①:制度上、最終合否をAIだけで完結させる設計は避けられている
日本・米国・EUいずれの制度も、採用にAIを使う企業に説明責任や監査を求めており、「AIが決定して終わり」にできる設計を許容していない。
| 地域・制度 | 時期 | 求められること |
|---|---|---|
| 日本(職業紹介事業の業務運営要領) | 2026年9月14日付で改正・適用 | 求職者・求人情報の選別や提供相手の判断をAIで自動的に行う場合も、職業紹介事業の許可等が必要な対象行為に含まれることを明記[出典: ASCII STARTUP(PeopleXのリリースを基にした報道)2026年9月29日] |
| 日本(個人情報保護法・職業安定法・均等法) | 現行法の枠組み | 顔・音声データ取得の適正、性別・年齢差別の禁止を求める[出典: crystal-method.com「AI面接のバイアス対策|公平性・法的/個人情報の注意点【2026】」] |
| 米国ニューヨーク市(Local Law 144) | 2023年7月5日から執行開始 | 採用・昇進にAI・機械学習ツールを使う雇用主に、独立した第三者機関による年1回のバイアス監査を義務付け。違反時の罰金は1件あたり500〜1,500ドル[出典: Bloomberg Law 2023年7月6日] |
| EU(EU AI Act) | 2024年施行開始 | 採用AIが「高リスクAI」に分類される可能性があり、透明性・人間によるオーバーサイトが義務化[出典: crystal-method.com「AI面接のバイアス対策」2026年版] |
いずれの制度も、AIによる自動判断の存在そのものを禁じているわけではない。共通しているのは、AIが選別・評価に関与する場合でも、人による監督や第三者による検証の余地を制度として残している点である。最終合否をAIだけで完結させる設計は、こうした制度の前提から外れることになりかねない。
できないこと②:学習データに起因するバイアスは、AIが完全には解消できない
AIは評価の基準となった過去の人の判断データをそのまま学習するため、既存の選考にあった偏りを引き継ぐ構造的な弱点を持つ。
AI面接における「アルゴリズムバイアス」は、過去に採用・活躍した社員の評価データを正解ラベルとして学習させることで生じるとされる。採用時点の人事担当者の主観的判断や時代背景による偏りが、そのままモデルに引き継がれ、特定の属性を持つ候補者を不当に低く評価する形で現れるという仕組みである[出典: Crystal Method ブログ 2026年9月9日]。
この「人の選考自体に段階的な偏りが生じ得る」という状態を示す例として、フェアパスが保有するWAKE Career契約企業の実績データ(全求人集計)がある。選考フェーズ別の通過率を見ると、書類選考では女性42%・男性35%と女性が7ポイント上回るが、1次面接では女性20%・男性37%、2次面接では女性20%・男性48%、最終面接では女性0%・男性50%と、面接フェーズ以降は全フェーズで逆転している。このデータは契約企業の実績データであり、母数・集計期間は公表されていないが、「書類選考までとそれ以降で通過率の傾向が変わる」こと自体は、人の判断による選考にも段階的な偏りが生じうることを示す具体例といえる。AIが学習するのがこうした過去データであれば、偏りごとAIに引き継がれる可能性がある。
海外では、AI面接ツールを導入する企業の多くが自社ツールのバイアスを認識しているとする調査や、AI審査ツールが特定の属性の名前を高い頻度で優遇したとする研究が紹介されることもある[出典: Crosschqブログ 2026年1月29日]。ただしこれらの数値は、調査対象・母数・調査時期が記事内で明示されておらず、一次調査レポートでの再確認が必要な情報として扱うべきである。重要なのは個々の数値の大小よりも、「AIが学習したデータに偏りがあれば、AIの出力にもそれが現れる」という構造自体であり、これはAIの性能を上げるだけでは解消しきれない問題である。
できないこと③:候補者の納得感は、AIの精度だけでは作れない
候補者が不安を感じる最大の理由は評価の精度そのものより「評価基準が見えないこと」であり、この納得感の問題は技術的な改善だけでは解決しない。
就活生を対象とした調査では、64%がAI面接に不安を感じており、66.5%が「人間の面接官の方が良い」と回答している。ネガティブな印象として最も多かったのは「評価基準がわからない」(94人)、次いで「人間味がない」(92人)だった[出典: 株式会社Synergy Career『就活の教科書』調査レポート 2025年5月30日]。この調査は自社運営メディアの読者を対象にしたものであり、全体の母数は明記されていないため、就活生全体への一般化には注意が必要だが、「評価基準の不透明さ」が不満の中心にあるという傾向自体は読み取れる。
米国では、AI面接への不満から選考を途中離脱したり、AI面接を課す企業をブラックリスト化して応募対象から外す求職者が出ているとも報じられている。ACLU(米国自由人権協会)は、顔・音声・PCとの身体的なやり取りを分析する予測的採用ツールについて、障害・人種など保護特性を理由に不利な評価を受けるリスクを高めると指摘しており、HireVueやWorkdayのAI採用ツールに対しては年齢・人種・障害を理由とした差別があるとする申し立ても提起されている(両社は主張を否定している)[出典: CNBC 2026年9月15日]。これは米国市場の事例であり日本にそのまま当てはめることはできないが、「精度が高くても、評価基準が見えなければ候補者は納得しない」という構図は、AIの技術的な改善だけでは埋まらない課題として共通する。候補者体験への具体的な対処法は、AI面接は候補者の心証を損なうか。懸念の正体と対処法で詳しく扱っている。
自社でAI面接官を内製するか、既存ツールを使うかの判断軸
多くの企業にとっての現実解は、一次選考はAI(生成AI型の評価出力まで)、二次選考以降は人が担うハイブリッド運用であり、自律判断まで行うAIエージェントを内製すべきかは次の3つの問いで判断できる。
- 緊急性:本番環境が短期間で必要かどうか
- 独自性:他社が真似できない、自社固有の評価判断基準があるかどうか
- 保守性:作った後、運用し続けられる体制があるかどうか
内製化の本質は、実行のソフトウェアを自社で書くことではなく、「自社固有の判断基準を言語化して渡せる状態にすること」にある。既存のAI面接ツールを使う場合でも、この判断基準をどこまで言語化できているかが、運用の質を左右する。
実務上の落としどころとして紹介されているのが、一次選考ではAIが大量エントリーに対し基礎的な資質・コンピテンシーを評価し、二次選考以降は人がアトラクトや深掘り評価を担う「ハイブリッドモデル」である。一次選考をAIに任せ、二次選考以降を人に残すという役割分担は、本記事で見てきた「できること」と「できないこと」の境界線とも重なる。AIエージェントという区分自体の定義については、採用オペレーションAIエージェントとは何かで整理している。
よくある質問
ベンダーが公表する「評価精度が高い」というデータはそのまま信じてよいか?
HireVueのように、外部のIO心理学者による監査で検証研究の実施を公表しているベンダーもある。ただしこれは自社製品に関する自己公表であり、他社製品の精度や公平性を保証するものではない。導入検討時は、第三者による独立した検証の有無と、その監査が自社の利用シーンに適用可能かを個別に確認する必要がある。
まとめ
- AI面接が担うのは主に「生成AI型」の範囲(進行・文字起こし・一次評価スコアリング)で、自律的に合否を実行する運用は一般的ではない
- 最終合否をAIだけで完結させることは、各国の規制が前提としている人の関与を欠くことになりかねない
- バイアスは技術的な欠陥ではなく、学習元データ(人の過去の判断)の偏りを引き継ぐ構造の問題である
- 候補者の納得感は精度の問題ではなく「評価基準が見えるかどうか」の問題である
- 内製するかどうかの判断は、実行システムではなく自社固有の判断基準を言語化できるかで決まる
自社の面接プロセスのうち、どこまでをAIに任せられ、どこから人の判断基準を言語化して引き継ぐべきかを一緒に整理したい方は、フェアパスの資料請求・無料相談をご利用ください。フェアパスに相談する
この記事は、AIを使って作成し、編集部が内容を確認しています。
著者:フェアパス編集部