日程調整ツールやRPOを入れても、面接調整の工数はゼロになりません。消えないのは、イレギュラー対応という「判断」だけが、結局は人事に戻ってきてしまうからです。実際、複数の商談で、担当者自身から「完全に自動化できないのが煩わしい」という声を聞いています。

こんにちは!bgrass事業責任者のゆあさです。 「日程調整ツールも入れたし、RPOにも任せている。それなのに面接調整の仕事がなくならない」最近の商談で、そんな声をよく聞きます。

このテーマについては、先日まいかが書いた「面接の日程調整を任せても、イレギュラー対応は人事に残る」で、外注しても手戻りが起きる構造をまとめています。今回はそこからもう一段踏み込んで、実際に商談で聞いた担当者自身の言葉をもとに、なぜツールやRPOを入れてもこの「配慮」が消えないのかを掘り下げます。

日程調整ツールを入れても、面接調整の仕事は消えない理由

日程調整ツールを導入したり、RPO(採用代行)に日程調整そのものを委託したりする企業は増えています。導入直後は、実際に楽になります。候補日の提示や確定、リマインドといった定型作業は、ツールや委託先が代わりにやってくれるからです。

ただ、数ヶ月経つと同じ壁にぶつかります。面接官のリスケ、候補者都合のキャンセル、直前の面接官変更。こうしたイレギュラーが起きた瞬間、結局は人事の手が必要になります。ツールを入れたのに工数が思ったほど減らない、という感覚の正体はここにあります。

「完全に自動化できないのが煩わしい」と言われる場面

これは私が感じているだけの話ではありません。担当者と話していると、同じ言葉を何度も聞きます。

「完全に自動化できないのが煩わしい」 「結局見に行っちゃう」 「コミュニケーションコストがかかる」

面接官のカレンダーが数日先まで埋まっていて、無理に候補日を当てられないとき。1日に入れてよい面接の上限が、実はその会社独自の暗黙ルールになっているとき。確定後に同席者が追加されたとき。エージェント経由で複数の候補日がまとめて届き、カレンダーと突き合わせが必要なとき。こうした場面は、ツールにもRPOにも「判断基準」として渡されていないことがほとんどです。

採用業務の棚卸しについては、以前100社近くの商談から見えた傾向を「100社近くの採用現場から見えてきたAIネイティブな視点」にまとめています。委託しているのに工数が減らない企業ほど、この棚卸しができていません。

完全な丸投げは、人でもAIでも難しい

ここで感じているのは、RPOの力量の問題ではないということです。完全な丸投げは、人に任せても、AIに任せても難しいんだな、とあらためて思っています。ツールやRPOに「日程調整」という業務だけを渡しても、その中にある「その組織にしかわからない判断」までは渡せていません。渡せていない判断は、委託先が優秀であるほど、律儀に人事へ確認を戻してきます。だから工数が減らないのです。

それでも工数は動かせる、実績としての数字

この「判断」を言語化して渡せば、話は変わります。フェアパスでは、FDE(現場入りエンジニア)が実際の現場に入り、面接官のカレンダー事情や候補者ごとの優先度といった判断基準を言語化した上で、AIに実装しています。

実際に運用に乗った企業では、採用オペレーション工数が約1/4に、応募から一次選考までのリードタイムが3.7日から1.4日に短縮しました。ツールを増やすことでも、委託費を削ることでもなく、判断基準を言語化してAIに引き継ぐという発想の転換が、ここでは効いています。

フェアパスでもまだ検証中の範囲

正直に書くと、日程調整のイレギュラーには、まだ対応しきれていないパターンもあります。あらゆるシチュエーションを網羅できているわけではなく、今も改修を重ねている段階です。「配慮を全部AIに渡せる」と言い切るには、もう少し時間がかかります。

ここまで書いてきたのは、「日程調整ツールが悪い」「RPOをやめた方がいい」という話ではありません。ツールを入れるかどうかより先に、自社のどの判断が委託先やAIに渡せていないのかを、まず言葉にする必要があるという話です。渡せていない判断がある限り、ツールをいくら増やしても、イレギュラーのたびに人事へ戻ってくる構造は変わりません。

自社の日程調整で、ツールやRPOに渡しても戻ってきてしまう「判断」がどこにあるか。棚卸しするところから始めてみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

この記事で書いた「渡せていない判断」は、実は6つのチェック項目で洗い出せます。ホワイトペーパー『現場に残ってしまうタスクは、どこまでAI化できるのか』に、自社の日程調整で言語化されていない判断基準を洗い出す診断チェックリストと、RPOの「任され方」によって残るタスクがどう変わるかの整理をまとめました。まずは自社にどんな判断が残っているか、チェックリストで確認してみてください。

▼現場に残ってしまうタスクは、どこまでAI化できるのか

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執筆者|ゆあさ bgrass株式会社|事業責任者 HR領域を中心に採用責任者、RPO、新規事業責任者、BizDev、COO等を経験。複数企業の採用現場で採用戦略・採用オペレーション・AI導入支援に従事。現在はRecruiting Agent OS「フェアパス」の事業責任者を担当。